第11回 文化庁メディア芸術祭

HAPPENING

世界各国で行われているメディア・アートのフェスティバル。ここ日本にでも幾つか開催されており、その数は現在も増え続けている。その代表的なイベントとして位置づけされているのが文化庁が主催する「文化庁メディア芸術祭」だ。

第11回文化庁メディア芸術祭

11回目となる今年は、日本のみならず世界中から応募された2,091作品のなかから選出された優れた作品を約160点、昨年開館したばかりの国立新美術館を会場として展示し、2月6日から2月17日の2週間で約44,500人来場した。部門は例年通り、アート部門、エンターテイメント部門、アニメーション部門、マンガ部門そして同時開催となっている学生CGコンテストの作品が広い会場にところ狭しと展示されていた。


展示作品のなかからいくつかここで紹介しよう。

第11回文化庁メディア芸術祭
「Slot Machine Drawing」Eisuke Kusachi, Junji Watanabe

アート部門からは、会場入り口付近に特に目立って展示されていた、草地英介と渡邊淳司による「Slot Machine Drawing」。彼らが以前に制作した「Roll Canvas」を発展させたというその作品は、絵を描く面白さを体験でき、うにょうにょ楽しくタブレットマウスを操作することで、勝手に面白いアニメーションが画面上に生成される。インターフェースがシンプルで何も考えずにお絵かきに没頭できる。

第11回文化庁メディア芸術祭
「Apoc」株式会社 イッセイ ミヤケ

こちらはアート部門優秀賞の「ISSEY MIYAKE A-POC INSIDE」。佐藤雅彦とユーフラテスによるISSEY MIYAKEのブランドサイトのコンテンツで、点と線が動くことによって見ている側にモデルが歩いているところを想像させ、あたかもそこに実際の人間の体が浮かび上がってくるような錯覚を起こした。現在もISSEY MIYAKEのウェブサイトで見ることができる。

第11回文化庁メディア芸術祭
「Super smile」Effie Wu

また、こちらも映像作品で奨励賞を受賞した台湾のメディア・アーチスト、エフィー・ウーの「Super Smile」。画面のなかでは、女性(作家本人)がずっと笑いながら映っているだけの作品。瞬きせずに、笑っている以外は別段普通なのだがついつい見入ってしまう。最初はなぜ笑っているのかを理解する為にこちらも見ているのだが、理由も特に明示されずに淡々と映像は進んでいき、こちらは妙な違和感を抱く。その違和感が映像を見続けさせる。

第11回文化庁メディア芸術祭
「匂いをかがれたかぐや姫」原倫太郎+原游

エンターテイメント部門では、日本の伝統的な昔話を自動翻訳で日本語から英語、そして再度日本語へ変換し、その変換された文章をもとにイラストをあしらった原倫太郎と原遊による「匂いをかがれるかぐや姫 〜日本昔話Remix〜」がとりわけ面白く、よく知っている昔話がテクノロジーで翻訳されるとこんな世界になるのかという驚きと、普段使う自動翻訳というツールにある”間違った訳”という求めている結果とは逸脱した不必要とされるものが、見方を変えると”魅力的な言葉”に変貌しすさまじく新しい物語を生み出していた。

第11回文化庁メディア芸術祭
「邂逅 わくらば」田部井 勝

共同開催された「第13回学生CGコンテスト」からぜひ紹介したいのが、田部井 勝「邂逅わくらば」。インタラクティブ部門で佳作をとったこの作品は、砂利の上を人が歩き、しばらくするとその動きをから再現し、砂利の上に誰もいないのに、砂利が動き、砂利を踏みしめる音が聴こえる。

また、他にも静止画部門で最優秀賞を受賞した中山雅紀「captive julia」など目を引く作品が数多くあり、学生を中心とした若い作家たちの作品ながらレベルの高さを実感した。

来場者の顔ぶれも様々でおじいちゃんから子供まで幅広い人たちが楽しめ、アートからマンガまで幅広く豊かで、見てさわって楽しいものから、「人類とは?」みたいな壮大なものまでを内包した「文化庁メディア芸術祭」はイベントであると同時に”メディア・アート”というひどく漠然とした言葉をうまく表現した一つの形であり、その中には人の常識だったり思い込みからジャンプしていく可能性を感じた。

第11回文化庁メディア芸術祭
会期:2008年2月6日〜2月17日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
主催:文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会
入場無料
http://plaza.bunka.go.jp/festival/2007/

Text: Yasuharu Motomiya

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