テリエ・イースングセット アイスコンサート

HAPPENINGText: Yurie Hatano

世界中で「暖冬」の言葉が飛び交っている。北海道の雪も例外なく少なく、数々の雪像や氷像が雨に打たれた。第29回となる「千歳・支笏湖氷濤まつり」は、そんな中、今年も湖水をふきかけて創る氷濤で支笏湖の神秘と幻想の世界を再現し、多くの来場者を集めた。

氷濤まつり会期中の2月14日から17日にかけて、ノルウェーを代表するアーティスト、テリエ・イースングセット一行がこの会場を訪れ、楽器製作の2日間を経て、日本で初めての実施となるアイスコンサートを繰り広げた。

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テリエ・イースングセット。20年以上ものジャズ及びスカンジナヴィア音楽での経験を土台にし、ヨーロッパで活躍するパーカッショニストである。「パーカッション・プロフィール」という本では世界の最もクリエイテイブな25人のパーカッショニストの一人として選ばれており、ノルウェーの木、石、羊の鈴や氷を楽器として使う詩的で簡潔な音づくりのユニークさが注目を集めている。

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また、テリエと共に演奏を行うアルヴェ・ヘンリクセンは、同じくノルウェーのトランペット・プレイヤー。トロンハイム大学院音楽部門を卒業後、1989年に活動を開始。その才能は高く評価され、2004年には、ノルウェージャズのニュージェネレーションを代表する一人として選ばれているアーティストだ。

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コンサート最終日、まだ日が落ちる前の時間帯。会場では彼らがエンジニアと共に、入念なサウンドチェックを行っていた。『昨晩の演奏はよくできた。が、また昼間に楽器が溶けて壊れてしまった。コンディションを管理することがいちばん大変なんだ。』氷を削って調節したり、『ほんの微妙な角度と接近によってのみ音を拾うことができる』マイクの取り付けを微細に行ったり、大敵であるという風を防ぐためのカバーを取り付けたりする。時おり駆け寄ってくる会場の子供たちに使わなくなった楽器の一部をプレゼントしたりしながら。

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