ヴィルジニ・ラヴェイ「トゥモロー・メモリーズ」

HAPPENINGText: Naoko Wowsugi

アンド・エーは服、雑貨、音楽そしてアートを独自の切り口で発信してきたコンセプトショップだ。オリジナルウェアや小物、雑貨を中心にヨーロッパを中心としたインポートアイテムも展開するほか、多くのデザイナーやアーティストとコラボレーションを行ってきた。また、数々のイベントや展覧会を開催し、お客様とのコミュニケーションをとり、刺激を与えてきた。

今回は新たな試みとして「パケ-ブティック」というプロジェクトのもとショップ店内がラッピングをされるかのように一人のアーティストの作品によって演出された。

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ヴィルジニ・ラヴェイはフランス出身の空間アーティスト、アートディレクターである。2005年には雑誌ICONによる最優秀インスタレーション賞を受賞し、様々な形式や媒体を使い、数多くのプロジェクトを手がけてきた。彼女は2006年10月にアンド・エーで行われたイベントでもコラボレーションを行っている。アンド・エーの今期のコレクションテーマ「Re=様々な固定概念をリメイク」のもと彼女が製作したのは人型にデザインされたカッティングシートをショップ空間に縦横無尽に貼リめぐらせた遊び心のあるインスタレーションだ。

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人型は目をつむって眠っているようなポーズでその周りには抽象的でインクを落としたような点が散りばめられていた。私にはその人々が空想しているようにも見え、周りに散りばめられた点は彼らの取りとめのない夢や空想を表しているようだった。物を作るときや何かを考える時、私たちは頭の中にある象徴的なものを捉えて姿形にしてゆく。

彼女のインスタレーションはそうした人間の創造行為を表現しており、店内に並ぶ独創的でユニークな服、アクセサリーもその創造行為を経てでき上がったものであることを考えると、とてもファンタジックにショップ全体をラッピングしていた。また、彼女の作品は観ている者に何らかのインスピレーションを与える。それは観る者と作品、もっと言えばアンド・エーとお客様のコミュニケーションに繋がっていく。

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アンド・エーは常に私たちへのコミュニケーションを中心にショップのあり方を考えているように思える。それは彼らが行ってきた数多くのイベントや展覧会、店で取り扱うアイテム、そして彼らが手がけるアートフリーペーパー「ウォール・オン」からも伝わってくる。このフリーペーパーは、毎月違うアーティストがデザインし、第3火曜日に配布するというコンセプトで、新たなコミュニケーションを生みだしている。

アンド・エーが発信していくカルチャーはファッションだけでなくライフスタイルにまで影響していく。生活の中に沢山のアートが存在することに気づくだろうし、またそういったヒントを沢山提供している。店内を巡りながら商品やディスプレイを見ているとそれぞれのこだわりや遊び心が見えてくる。アートギャラリーで作品をひとつずつ見るのと同じように。

今後アンド・エーがどのような斬新な形で私たちに問いかけ、話しかけてくるのか。それに対して私たちがどのように返事をしてゆくのか。このポジティブなコミュニケーションは続く。

Virginie Lavey “Tomorrow’s Memories”
会期:2007年2月23日〜3月26日
時間:11:00〜20:00
会場:And A 大阪店
住所:大阪市西区南堀江1-19-29
http://www.and-a.com

Text: Naoko Wowsugi
Photos: Naoko Wowsugi

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