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マーティン・クリード展「I LIKE THINGS」

HAPPENINGText: Francesco Tenaglia

マーティン・クリード展「I Like Things」の最初の作品は展示場に入らずして見ることができる。「Everything is Going to Be Alright(万事うまくいく)」(作品No.560)という文字の巨大なネオンライトが、町の中心部であり、おそらく世界的に最も認知されている場所のひとつ、ドゥオーモ広場にある建物、アレンガリオ宮の正面に提げられている。


Martin Creed, Work No.560, Everything is Going to Be Alright, 2006, Installation view, Palazzo dell’Arengario, Milan, Photo: Marco De Scalzi. Courtesy the artist

マーティン・クリードは既に、ロンドンのイーストエンドに観客に解釈の余地を残しつつ、この作品をぶら下げていた。このフレーズは、ここでは皮肉にも50年代イタリアの高度成長期に象徴される、都市の古い学校の楽観主義を連想させる。もっと単純に言うと、この広場に設置された巨大スクリーンに映るFIFAワールドカップを見に毎日やって来る、多くのサッカーファンを安心させているように思われる。


Martin Creed, Work No.227, Lights Going On and Off, 2000

展示作品にはマーティン・クリード作品で最も有名な作品の一つで、2001年にターナー賞を受賞した「Lights Going On and Off(点滅するライト)」(作品No.227)もある。それはまさにタイトル通り。広々とした空っぽの展示場が断続的に照らされ、驚くことに総体的には彫刻のような効果をもたらす。


Martin Creed, Work No.564, Wind Machines, 2006

メイン会場では、「Small Things」の文字が2つの壁を完全に覆う作品(作品No.275)や、リズミカルにバタンと音を立てる真っ白なグランドピアノ(作品No.569)、2つの巨大な送風機(作品No.5643)がある。別の部屋ではカメラの前で吐いている女の子の映像(作品No.503)。


Martin Creed, Work No. 503,.2006

ロンドンとシシリア海にある小さなアリクジ島で生活しているイギリス人アーティスト、マーティン・クリードの、最もシンプルなアイディアを用いて、見ごたえがあり且つ完成した形式を模索しつつ、彼のアートの意味が0になるという考えをもてあそぶ事に的を絞るという意図を、この展覧会は強固にする。こうすることで、彼はミニマル・アートやコンセプチュアル・アートの遺産から逃れることはできず、彼は利口な漫画風の皮肉を使って取り組んでいる。

Martin Creed “I Like Things”
会期:2006年5月16日〜6月18日
会場:Palazzo dell’Arengario
住所:Piazza del Duomo, 20123 Milano
https://www.fondazionenicolatrussardi.com

Text: Francesco Tenaglia
Translation: Yuki Furusho
Photos: Francesco Tenaglia

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