イマジニアリング・オカヤマ・アートプロジェクト
HAPPENINGText: Namie Kuwada
岡山市で2014年11月から約2ヶ月間に渡り、アートイベント「イマジニアリング・オカヤマ・アートプロジェクト」が開催された。世界に誇る「アートと文化の街」を目指して始動した「岡山未来づくりプロジェクト」の一環で、コンセプトは「街が美術館となり、散歩がアートとの出会いになる」。文化施設をはじめ廃校や廃墟ビル、店舗や公共機関など岡山市内各所で12作家の作品が展示された。
© イマジニアリング制作委員会 Photo: Katsuaki Hata
歴史的文化資産である岡山城の天守閣入り口にはフィリップ・パレーノによる電飾が光り、広場にはリクリット・ティラヴァーニャによるステンレススチール製の卓球台12台が設置され、実際にプレイすることが可能。卓球台に映り込む岡山城と青空、卓球を興じる人々のコントラストは野外展示の利点が最大に発揮されていて、壮観であった。
「無題2012(そうする人が誰もいなかったとしても少なくとも僕らは、もう一度未来について想像しようとするべきだ)(ジュリウス・ケラーを忘れるな)」Rirkrit Tiravanija, © Rirkrit Tiravanija 2012, © イマジニアリング製作委員会, Gavin Brown Enterprise, NY
マーティン・クリードの作品では日常では気に留める事のない空気が風船を用いる事で可視化され、それを体験することにより「視点を変える事で生み出される新しい世界観」という現代美術の面白さがシンプルに味わえる。
「作品番号 1350番 その部屋の半分の空気」Martin Creed, © Martin Creed, 2012, © イマジニアリング製作委員会, Hauser & Wirth and Gavin Brown’s enterprise, NY Photo: Hiroyasu Matsuo
サイモン・フジワラの作品では騒然と並ぶ彫刻作品についての背景が映像で紹介されていくが、その映像には事実とフィクションがユーモアと共に入り交じり、鑑賞者は現実と虚像の中から真実を見つけ出していく作業を課せられる。
「レベッカ『ある教育課程』」Simon Fujiwara, © Simon Fujiwara, 2012, © イマジニアリング製作委会, TARO NASU Photo: Koji Ishii
このプロジェクトでは、日常の中でのアートとの出会いを通じて新たな未来を創造していく。さらにはこのプロジェクトを軸として、都市部から人々が瀬戸内地域を訪れる際に、岡山市がその導線の中心になり、瀬戸内のハブになるきっかけになることを目指している。今後の展開が楽しみなプロジェクトである。
Imagineering OKAYAMA ART PROJECT
会期:2014年11月2日(日)〜12月25日(木)
時間:10:00〜18:00
会場:岡山城、後楽館天神校舎跡地、柳川ロータリービル、ほか岡山市内各所
参加作家:アンリ・サラ、ダグラス・ゴードン、リアム・ギリック、マーティン・クリード、小泉明朗、ミルチャ・カントール、ライアン・ガンダー、島袋道浩、サイモン・フジワラ、ペーター・フィッシュリ & ダヴィッド・ヴァイス、フィリップ・パレーノ、リクリット・ティラヴァーニャ
主催:岡山市
共催:イマジニアリング製作委員会
入場無料(一部公共料金発生)
https://okayama-mirai.jp/imagineering/
Text: Namie Kuwada