第4回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

最後にこの展覧会で最も大きな会場だった、廃校となったユダヤ人女学校に足を向けよう。

建物のあちらこちらには、いつ誰に描かれたとも知れないグラフティ、ポスターや掲示物が残っており、それらを背景としながらも、上手く取り込みつつ、作品が展開されていく。


Paloma Varga Weisz, Kopfportrait, 2005

このようにかつて某かの機能を持っていた建造物の一部にも作品は設置されている(写真はパロマ・ヴァルガ・ヴァイスの木彫)。


Victor Alimpiev, Summer Lightings, 2004

会場の入り口付近に展示してあったヴィクター・アリムピーヴの映像作品。教室に座った子供達がそろって机を叩き、次の瞬間手を口に当てるといった印象的な動きと、その際発生する音と空爆のイメージを重ね合わせた映像作品。決して思い空気ではなく、むしろ軽やかではあるが、ここがユダヤ人女学校であったことを考えると、過去の戦争の歴史を暗に想起させる。


Sebastian Hammwoehner, Dani Jakob, and Gabriel Vormstein

木や、銅板、石工のように白いモチーフ等を組み合わせて、不可解で神秘的なオブジェの並ぶインスタレーション。これらは、一人のアーティストの作品に見えて、セバスティアン・ハムヴェナー、ダニ・ヤコブ、ガブリエル・フォルムシュタインという3人のアーティストによる共作である。


Thomas Zipp, Astro Black, 2006

壁一面に大きく張り巡らされた部屋の写真。これらの写真のパースにあわせて数点のペインティングが描かれている、奇妙な空間体験。トマス・ジップの作品。

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