ステラ・バイン 展

HAPPENING


デザインオフィスや、ギャラリー、スタジオのならぶショーディッチから、ほんの5分の距離だというのに、もうここはブローカーやバンカーのひしめき合う、金融とビジネスの中心地、お札の香のする場所、シティのど真ん中。そこにヒスコックス・ギャラリーはある。そもそもヒスコックスは、ファインアートの保険までカバーする大手の保険企業であり、その巨大なビルディングのグラウンドフロアに、シティで働くワーカーにも、アートに触れる機会を与えたいとして作られたのが、「ヒスコックス・アート・プロジェクト」というギャラリースペースなのである。さて、ここでひらかれる、ヘンリー・ハドソンとステラ・バインによる ペインティングエキシビジョン「The Beautiful and the Damned」に足を運んでみた。

ステラヴァインといえば、ダイアナ妃の血を流したポートレイトへの賛否両論から、サッチーギャラリー移転問題に頭を抱えている(だろう)イギリス最大のコレクター、サッチー氏に作品を見い出された、元ストリッパーのミューズ、などとして、どちらかというと、スキャンダラス方面に注目を浴びてきた若手アーティストである。

彼女の作品には、新聞やタブロイドでとりあげられる陰惨な出来事に対する彼女なりのレスポンスをテーマにしたものがこれまでも多く見られた。
そして今回は、ドラッグやボーイフレンドの問題で近頃タブロイドを騒がせるスーパーモデル、ケイト・モスに彼女は心惹かれたようだ。

ほとんどの女の子は、ゴシップが大好きだ。タブロイドもゴシップ欄からはりきって読みはじめるのは、なにも私だけではないだろう。でも、そこに自分を投影するということはあまりない。ゴシップは人事だからこそおもしろいのだから。
ただ、このステラ・ヴァインというアーティストは、世間一般で起こる恐ろしい事件や、メディアからバッシングを受けるセレブリティに、本気で心を傷つけられ、鬱になったり、それに取り付かれてしまう、それが彼女の作品のベースになっているように思う。
シェイクスピア劇の悲劇のヒロイン、オフィーリアに似せて描かれたモスの肖像画は、ヴァインの彼女へのシンパシーを感じさせる。ガーリーな明るい色使いに、感情的にさえみえる厚くなんども重ねたタッチは、どこかアンバランスなティーンエイジを思わせる。彼女の作品をみるたび、ソフィア・コッポラの、ヴァージン・スーサイズを連想してしまうのもそのためだろう。

一方のアーティスト、へンリー・ハドソンは、セレブリティの人気を一晩で、簡単にひっくり返ってしまう力を持つメディア、そしてそれに踊らされる観客を、風刺し、皮肉るような作品を発表していた。ペインティングとコラージュにより、鳥インフルエンザや、ロイヤルファミリーなど、メディアによく登場する題材にしたそれらの作品は、非常にグロテスクに描写されていた。グロテスクでショッキングな表現を絶賛したがるイギリスのアートには、もういい加減にうんざりしてしまう。

HENRY HUDSON AND STELLA VINE
The Beautiful and The Damned

会期:2005年11月24日〜2006年1月21日
会場:Hiscox Art Project
住所:1 Great St Helen’s London EC3A 6HX
www.hiscox.co.uk

Text and Photos: Sayaka Hirakawa

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