レインボー&バンパイア

PEOPLEText: Reto Caduff

80年代のアニメーションやゲイ・ゴス・バンドのような感じがする。いや、しかしそれは違う。レインボー&バンパイアという珍しいネーミングで活動するのは、ロサンゼルスで活躍するアニメーターとミュージックビデオのディレクターとの2人組だ。

私はその若きディレクターと、彼らが所属するプロダクション会社のオフィスで会った。雰囲気はとても“会社”という感じで、ビバリーヒルズにあるこのオフィスの1階は、ジュアン・モナステリオとアーリア・センボウタラジの2人が生み出すようなヒップでエッジーな作品の雰囲気とはかけ離れていた。

とりあえず彼らの、サンフランシスコのバンド、エノンのために制作したクリップや、オノ・ヨーコの曲「ウォーキング・オン・スィン・アイス」で手掛けた、素晴らしくて忘れられないモノクロアニメーションを見てほしい。そうすれば彼らを理解できるだろう。最近では、ブラック・アイド・ピーズの大ヒット曲「ヘイ・ママ」のクリップや、カナダ人シンガー、フィフィ・ドブソンの80年代のエレクトロニックポップソングのような「ドント・ゴー」のビジュアルからも分かるように、グラフィックのルーツを保ちつつも、ライブアクションへと変化してきている。『アニメーションにはもうあまり興味がないんです。』と、ジュアンはその理由を話す。もう一つ言えば、彼らはコマーシャルなどの金になるフィールドで仕事をしたいとも感じており、ただ単に彼らの高速回線を見せびらかしたいというのもあるようだ。

このデュオは、ロサンゼルスから遥か遠く離れた地にルーツを持つ。アーリアはミネアポリスのアートスクールに通い、学位とスーツケースいっぱいの希望を持ってロサンゼルスにやってきた。彼はすぐに地元テレビ局でニュースのグラフィックデザイナーとして働きはじめた。一方ジュアンは、オハイオのシシナッティ出身で、そこで彼はファッションデザインを学び、ミュージシャンを目指し、その後マッキントッシュに興味を持ち、アフターエフェクトに出会う。そして2人は1999年にロサンゼルスで知り合った。

ジュアンは“ジャンプ”する準備はできていたし、アーリアはデザイナー/ディレクターとしての仕事を離れたばかりでチャンスを伺っているところだった。そして2人はジュアンのリビングルームで、友達(エノン)のビデオの制作を始め、3ヶ月かけて完成させた。「私達は、それまでに学んだこと、持っていた知識全てをそこに注ぎこみました。」とアーリアはクリップを完成させるまでの長い道のりを思い出しながら話す。『あのクリップの出発点は、モダンにデジタル化したオズの魔法使いを作ろうというアイディアだった。』とジュアン。

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