ロンドン・デザイン・フェスティバル 2005

HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa

ロンドンっ子だけでなく、世界中のデザインハングリーな人々にとって、2003年以来、 9月の後半は大変多望な時期といえるだろう。 なにしろ今年のロンドン・デザイン・フェスティバルのオフィシャルガイドによると、 ロンドンのあらゆるエリアにおいて、ワールドクラスな見本市から、展覧会、オープンスタジオ、アーティストトークなど、なんと170以上のイベントが同時に進行しているのだ。 バスに乗っても、チューブに乗っても、同じ黄色い表紙のアイコンがプロデュースするガイドを持った人に巡り会い、目があうとそっと微笑みあう2週間なのだ。

さて、その中でも全く趣も、規模も、テイストも異なる二つの展覧会に足を運んでみた。

まずは、イギリス最大規模のデザイン見本市である、100%デザイン。 アールズコートの巨大な展覧会センターで行われるこのイベントには、ヘビー級デザイナーのトム・ディクソンから、若手のプロダクツデザイナーまで、450以上の出展ブースがある。その中でも、私の目とハートをひきつけたプロダクトをいくつか紹介しよう。


DMBH, Floratube

このラブリーなドームは、アムステルダムの女性デザイナーによって生み出された。忙しい都市生活者のためにデザインされた「フローラチューブ」は、水分がドームの中で蒸発せずに循環するため、数週間は植物に水を与える必要がなく、さらにほんの少しの日光を倍増する働きも持っているのだ。そのため、どんなにいそがしいワーキングガールでも(ボーイでも)、恋人に手料理を振る舞う際には、おしげもなくフレッシュなハーブを、大いばりで、自家栽培なの、と自慢することができるわけ。人とその人の持つ環境をつなぐデザインをしていきたいというDMBH、まさに理にかなったデザインだ。


Brand Van Egmond, Flower Power

鉄という素材がこんなにもセクシーに見えるというのは、いったいどうしたことだろう。 パウダーコートされたスチールプレートが、花の形に切り抜かれ、それが電球のまわりをからめとるように 配置された妖艶なブラックシャンデリア。 正直自分の部屋にはほしくない、けど、なんかもう目がはなせない、それほどまでに怪しい魅力がブランド・ヴァン・エグモントの作品にはあった。

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