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CMYK フェスティバル 2005

HAPPENINGText: Yurie Hatano

CMYK」は、マガジンカルチャーを発展させることを目的に、昨年よりスペインのバルセロナで開催されているインディペンデント・マガジン・フェスティバル。世界中から集まった雑誌やオンラインマガジンに触れることができ、それら編集者達によるカンファレンスやディスカッション、展覧会にパーティーなど、様々な角度からマガジンの素顔を見る事ができる画期的なプロジェクトだ。

第2回目となる今年は、世界的なイベントが盛んに行われているCCCBを会場に、編集者やデザイナー、アーティスト、学生、マガジンファンなどが集まり、2005年7月21日から23日の3日間に渡って充実した交流が行われた。

フェスティバル全体の内容は、今年新しく加わった「ビジュアル」「ワークショップ」のセクションを含め、大きく7つに分かれている。そのうちの主な3つのセクションが、会場のメインラウンジを占めていた。一つは「ソファ」という、ライブラリ感覚で40カ国からもの様々な雑誌を閲覧し、気に入れば購入もできるというセクション。もう一つは「キオスク」という、各ゲストマガジンの編集者たちと交流ができるセクション。そして「RGB」という、オンラインマガジンを閲覧できるセクションだった。

「ソファ」そして「キオスク」の隣り合った2つのセクションは、常に賑わっていた。目的の雑誌を求めてカウンターに並ぶ人や、いすに座ってくつろいだり黙々と雑誌を読みふける人がいる中で、雑誌関係者による雑誌関係者へのインタビュー、デザイナーの売り込み、これまでオンライン上でしか知り得なかった者同士の対面など、様々な出会いの中心の場所にもなっていて活気がある。「キオスク」の各雑誌のデスクなど会場の配置もわかりやすかったが、特に人が入り組んでいる時は、どの雑誌の関係者がどこにいるのかさっぱり把握できなくなる時もあり、ネームプレートをつけているとは言え、より明確な工夫があると良いと感じた。

そんなメインラウンジの奥にあるホールでは「フォーム」という、カンファレンスやディスカッション、各ゲストマガジンのプレゼンテーションが進行していた。今年のゲストカントリーであるドイツから参加したMパブリケーションのキンバリー・ロイドを筆頭にして、様々なテーマのスピーチやディスカッションが行われた。昨年のレポートによると、混乱が見られたというスペイン語と英語の通訳の問題も、貸し出されるトランスレーターを個々が使用することによってとてもスムーズに進んだようだ。ただし、うまく機能しないトランスレーターを手にした人や、借りるのを逃してしまった傍聴者が、わからない言語に肩をすくめることも多々あった。

SHIFTの他に、日本からのゲストマガジンのうち実際に来場して参加したのは、日本語と英語のバイリンガルで年に4回発刊され、海外にも多く購読者を持つ「+81」だ。編集長の山下氏は初日の「フォーム」のプレゼンテーションにて、グラフィックデザイン、ミュージック、ファッション、シティなど、沢山のテーマをフィーチャーする “インスピレーショナル・マガジン” としての「+81」を見事に紹介した。

また、スペインのネオ2、アメリカのトキオン、イギリスのキリマンジャロなどが参加したディスカッションでは、メディアプランナーの予算に頼らないインディペンデント・マガジンの財政的なあり方が議論されたが、この財政的な問題は他のどのテーマのにおいても持ち上がっていた話題の一つである。数えきれないほどあるマガジンの中で、生き残るための苦労や工夫、意気込みが伺えた。『結局世界中のどのマガジンも、取り上げるテーマや情報は似通ってしまうし、たかが知れている。大事なのはそれをどうプレゼンテーションするかなのだ。』という言葉が印象的だ。

こうして好調なスタートを切ったフェスティバル初日。夜には、オーブンというレストラン&バーにてオープニング・パーティが行われた。

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