倉科昌高「DODO(ドードー)であえたはずのどうぶつたち」絵本原画展

HAPPENINGText: Yuki Ishida

意外に思う人も多いかもしれない。ミュージシャンや現代美術家など、異種クリエイターとのコラボレーションを数多く行っているカスタムペインター、倉科昌高が絵本を作ったというのだから、見ておかないわけにはいかない!

どんな姿をして、どんな匂いがして、どんな場所で、どんなものを食べ、どんなふうに暮らしていたのだろう? ドードーを描いた絵本「DODO(ドードー)であえたはずのどうぶつたち」の原画展が東京で開催された。

彼の作品として目にする機会の多い、メラメラ&パキパキ、エッジの鋭いカスタムペイント作品とはまったく違う雰囲気にまず驚くが、これもエアスプレーで幾重にも線を重ねて描いたものだという。やがてその線は力強い太い線や、やわらかさを感じさせるグラデーションとなり、物語のような幻想的なイメージを思い起こさせる。

『出力みたいって言われちゃうんですよ』と倉科氏本人も言うように、機械的に計算されたように見えるほどそのクオリティは高く、原画をよくよく見ても、ようやく手で描いたことが分かるかわからないかというくらいだ。

もともとイラストレーターであった倉科氏は、8年ほど前からこのお話を描き始めていた。絵本として世に出るまでには、諸般の事情により少し時間がかかったというが、半分くらいの絵は当時描かれたものだとか。

絵本のテーマに「動物」を選んだ理由について、「動物が好きなんですよ」という答えからは意外な感じもしたが、会場に展示された原寸大のドードー(模型)や十二支をペイントしたボウリングのピンなどを見ると、描き手の動物好きならではの視点がそうさせるのか、動物たちの生き生きとした姿がそこには描かれている。

これまでのカスタムペイントの作品を振り返ってみても、単に模様を描き加えるということではなく、なにか “生きてる感”(倉科氏は「有機的な要素」と表現した)を付加しているのかもしれないと思えてくる。たとえば、ヘルメットであればそれを被るレーサーの個性、また乗り物(あるいは、乗り物を模った何か)であればスピード感など、彼のペイントによって、なにか強い “推進力” のようなものを得ることができるように思える。

個展は東京での会期は終了してしまったが、4月には大阪会場へ巡回する。倉科氏の手仕事を間近に見るチャンスなので、ぜひ会場へ。驚きますよ。

「DODO(ドードー)であえたはずのどうぶつたち」原画展
会期:2005年3月18日〜27日
会場:LAPNET SHIP
住所:東京都渋谷区神宮前1-8-10 フォレット原宿4F
https://www.lapnet.jp

Text: Yuki Ishida
Photos: Yuki Ishida

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