HOW(ハウ)展

HAPPENINGText: Shinichi Ishikawa

「生きる」ということは「表現」することである。自己表現のまったくない生活は、生物学的に生きているとしても、精神的には死に等しい。そして、僕たちをもっとも支配するものは精神なのである。

「自分の表現をする」というのはとても気分が良い。普段、社会の一員として生活していると、自分を表現できる機会というのは非常に少なく感じる。僕はというと、普段の生活のなかでの人と人とのコミニューケーションの狭間の中で、「自分を表現」できない局面は多い。すぐに自分を取り繕くろうとしてしまう。要するに、相手が期待するような態度や回答を適当に想像して、それを言葉や態度で表す。それは、ある種合理的な態度であったり、結果として有効な場合も多いが、それは決して「自分の表現」とは言い難い。

帰宅してヤレヤレと思って、一人で部屋で眠る時でさえも、枕元にあるミッドセンチュリーなデザインの時計をみると、これを買ったのは、自分の意思なのか、それがオシャレなアイテムとして認知されているから買ったのか、わからなくなり時々不安になる。そんな僕でも「Numero Deux」という名義の活動を通して編集やディレクションを行なう時は、多少は自分の本心に忠実に表現ができている感じがする。これはアイデンティティの確認であり、生の実感にもつながっていると思う。表現とは「生の実感」を得ることではないか、と最近よく考える。

若いうちから、自分だけの表現を考えるのはとて良いことだと思う。そして、発表の場も作れればもっと良い。

HOW(ハウ)」という市内在住の20代前半のアーティストらが中心になり企画した展覧会が行なわれる。彼らはイオ・スタイルという会社で働いている若手スタッフ。ここは札幌を拠点に活動するクリエイター集団「CAD.」を母体とする映像制作/販売会社である。


鉄砲方 / MASAAKI OTOGAWA

今回、本展覧会を行うキッカケになったのは、会社での業務の合間にクリエイティブな表現について、ワークショップ行なっていて、そこで積み重ねたことを広く発表したいと思ったからだという。直接的には今年の初夏に行ったワークショップが、本展覧会につながり、幾度も無くミーティングを積み重ねて、本企画が実現した。彼らは出品者であり、同時に企画制作者でもある。セルフ・プロデュースの技法を学ぶの重要だし、セルフを行なう経験は外部プロデューサーと一緒に行なう場合にもプラスとなる体験となるだろう。

出品される作品は参加者の年代は共通していながら、作風はそれぞれが個性があり、ジャンルも様々で主に、グラフィック、写真、オブジェ、音楽、インタラクティブ作品を予定している。また、会期中に開催する関連イベント、「クリエイターラウンジ」ではトークを通じて人と人との繋がりのちょっとしたきっかけの場を提供したいという。

この企画について、ついて彼らより以下のコメントをいただいた。

『この展示会(作品)を通じて、私達がどういう人間なのか、普段どのようなことをしているのかというのを知ってもらいたいです』。

「表現」をアートとか、クリエイティブとかあまり堅苦しく考えることなく、同じ時代に生きている「彼ら」と出会うために、本展示会に足を運んでみてはどうだろうか。「表現」を通しての新たな、何らかの出会いがあるかもしれない。

HOW(ハウ)
会期:2004年11月19日(金)〜23日(火・祝)
時間:10:00〜19:00
会場:アートスペース201
住所:札幌市中央区南2西1 山口中央ビル6F
お問い合せ:info@smilestory.jp
https://www.smilestory.jp/how/info.htm

Text: Shinichi Ishikawa

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鈴木将弘
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