BOOK 246

PLACEText: Yuki Ishida

青山に、本を扱うショップが2つオープンした。本を扱うといっても、片方は本屋で、もう一方はいわゆるセレクトショップに本のフロアがあるカタチ。共通しているのは、ブックのセレクトに力を入れているところと、そのバイヤーが同じ人だということ。ショップの雰囲気も、コンセプトもまったく異なるけれど、最近では独自のセレクトに付加価値を見出し、本だけでなく(あるいはファッションだけでなく)グッズなどを置くショップが増えているように思う。

そこで今回は、その2店のバイヤーを務め、自らも「ユトレヒト」という本屋のオーナーである、江口宏志氏に話をうかがった。


BOOK246

まずは5月にオープンした「BOOK246」。独自のスタンスを持つ旅雑誌『PAPER SKY』がプロデュースしており、当然テーマは「旅」。『旅といっても、直接的に旅がテーマのもの、イメージをわかせるものなど、結果として来た人が“旅っていいな”と思ってくれるようなものを選んでいます』。

『PAPER SKY』という雑誌があったからこそ、そのコンセプトはとてもイメージしやすかったのだと言う。特に新刊、古書にこだわることなく、「旅」というテーマを掲げているからにはガイドブックなどの基本的なものはフォローしつつ、こんな本があるんだ、という新しい発見をしてもらいたいというのがねらい。その中での古書の存在は、幅とか深さとかを出すという意味ではとても有効なのだと言う。新刊であれば、手間も時間もかかるけれど、大型書店をで探せば見つかる可能性は高い。しかし、古書や本以外のグッズなどをセレクトして一緒に置くことで、時間を奥へさかのぼることができたり、また来る人の興味をひろげることもできる。

 
CAFE246

『普通の一冊の新刊であっても、いろんなつながりが見えてくることで、違った見え方ができると思うんです』。

“古本じゃないとないもの”というのが第一条件であり、新刊が安く買えるというだけの古書では意味がない。古書に求められるのは、プラクティカルな情報ではなく、どちらかというとイメージをわかせることだ。単になつかしいだけの懐古趣味的なものじゃなくて、今見てもすぐに行きたくなるようなものがいい古書なのだと言う。ただし、古書は「出会い」が大事。まずいい本に出会わないことには始まらない。

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