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第3回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

第3回目となる今年のベルリン・ビエンナーレ、約50名のアーティストが、ビジュアルアート、建築、映像、ソニックアート等で参加する。壁が落ちて15年目を迎えるベルリン、多くの参加アーティストの居住でもあるこの都市にビエンナーレは根ざしている。都市改革を背景に、ベルリンの異種性、過去、新しい首都としての未来、そしてそれらから生まれるサブカルチャーが、ミッテ地区のエッジーな元マーガリン工場、クンストヴェルクと、クロイツベルグ地区のクラシカルなマルティン・グロピウス・バウという二つの会場で展示される。また、ポツダマー広場のアーセナル映画館では30本もの映画が上映される。

今年に入って久しぶりの晴天だった。この都市に住んだ事があれば分かるだろう、ベルリンは太陽にあたると大変身するのだ。クンストヴェルクの中庭も、今日は数ヶ月前とは全く別の場所と化していた。普段はダン・グレハムのガラスの建造の中に収まっているカフェが、どこからかわからないが、ガーデン・ファーニチャーを見つけ出し、6階にわたって提示されている作品を見に来た客がサングラスをしてゆっくりとお茶をしている。その真ん中には、新聞の束が二つに山積みされている。鈴木明のイグルー型建造物だ。開き、中に入る事ができるようになっている。

鈴木の建造物が関連している「アーバン・コンディションズ」のハブは、今年のビエンナーレのインスピレーションとなっている5つのテーマの内の一つ。他の4つは、「マイグレーション」、「ソニック・ランドスケープス」、「ファッション&シーンズ」、「アザー・シネマズ」と名付けられている。コンピューター・ネットワークのように、これらの「ハブ」は、多様なカルチャラルとコンテクスチャルな作品を連結し、その内容と妥当性に対して疑問を問い掛ける役目を果たしている。

ベルリンの現在を理解するためには、逃れられない歴史を深く考慮するハブもある。イェスコ・フェザーとアクセル・ヴィーダーはこう言っていた。『社会慣習、政治、社交、文化的な勢力関係は、都市の建築とその効用、そして連想される歴史、その乗り越え、それを可能にする条件などの形に表される。1990年以来、ベルリンを大きく影響してきた公共スペースの民営化への動向の歴史を知っている誰もが、ミッテ地区の用地を懐疑的に眺めているだろう。監視と防衛の最新技術の取り入れ計画を知っている誰もが、ポツダマー・プラッツあたりを慎重に歩いているだろう。そしてここ10年間共同政治の変化を追ってきた誰もが、ベルリンの共同スペースの分裂に驚くことはないだろう。』

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