デラウエア

PEOPLE

ロックをデザインし、デザインをロックする4人組グループ、デラウエア。彼らの活動範囲は、音楽CD、CD-ROMからCM、雑誌、Tシャツ、ウェブ、ケータイ電話、ライブまで多岐にわたり、既存の枠には納まらない。待望の3年ぶりとなるアルバムをリリースしたばかりの彼らにお話を伺った。


まずはじめに、デラウエア結成の経緯も含めて、自己紹介をお願いします。

個人的には、パソコンの登場が大きかったですね。パソコン以前は、自分ができるなんて思いも寄らなかった音楽を作ること/絵を描くことが、パソコンの助けを借りると、あれま、できちゃう!〈これで僕も作家の仲間入り!〉って高揚感が、バンドでもありグラフィックチームでもあるデラウエアを結成させてしまったわけです。
詳しくは、サイトのプロフィールでどうぞ!

現在の主な活動内容を教えてください。

音楽を作ること/絵を描くこと/コトバを考えること、それらをミックスすること、このスタンスは変わってません。具体的には、新年早々、『dELAwArE_S+rikeS_bAcK(デラウエアの逆襲)』『AmeN(アーメン)』、2枚のアルバムを発表しました。
4月にメルボルンで開催される「AGIdeas International」というイベントでライブショーとスピーチショー、5月にはシンガポール「IdN/My Favourite Conference」でライブショーを行います。それから、バルセロナの「ACTAR」という出版社から単行本を出す予定になっています。

自らをアーティストではなく、アートゥニストと呼んでらっしゃいますが、アートゥニストとは?

デラウエアには、「ARTOON」という曲があります。この曲の歌詞が一番の説明になっていると思いますので、紹介します。和訳すると、こんなかんじ。

 アートでマンガチック アートゥーン マンガチックでアート アートゥーン
 アートな娯楽さ アートゥーン 娯楽なアートさ アートゥーン
 それ行け! アートゥー アートゥー アートゥーン
 行け行け! アートゥー アートゥー アートゥーン
 クールなフレンドリー アートゥーン 静かな過激さ アートゥーン
 頑張れ! アートゥー アートゥー アートゥーン
 負けるな! アートゥー アートゥー アートゥーン

 ミニマル・アートゥーン
 オプティカル・アートゥーン
 コンセプチュアル・アートゥーン
 ポップ!

 洗練された稚拙 アートゥーン 聖なる俗物 アートゥーン
 頑張れ! アートゥー アートゥー アートゥーン
 負けるな! アートゥーン ここに在り

 コンピュータ・アートゥーン
 グラフィック・アートゥーン

 ナイーブだけど抜け目ないぜ アートゥーン こずるくてのんきな アートゥーン
 軽くてディープな アートゥーン 大人びた子供さ アートゥーン
 それ行け! アートゥー アートゥー アートゥーン
 行け行け! アートゥー アートゥー アートゥーン
 アートゥーン トゥーン アートゥーン アートゥーン トゥーン アートゥーン

こちらで「ARTOON」のショート・バージョンが聴けます。よかったらどうぞ。

ニューアルバムについて伺います。たくさんのゲストが迎えられての、久しぶりのニューアルバムをリリースされましたが、この2枚のアルバム制作に至る経緯を教えてください。また、ニューアルバムそれぞれについて教えてください。

まず『AmeN (アーメン)』から。『アーメン』はドラムも含め、全ての音がケータイ電話でできています。僕らはケータイのことを、電話としてよりも、むしろ新しくてカジュアルな楽器/出力装置と考えています。『アーメン』は初期着メロにベリー影響を受けているから、世の中に蔓延する多くの音楽と比べると、著しく音数が少ない。音数を減らすことは、装飾でごまかせない、確かなアイディアと根本的にイイ曲が必要とされます。ビートルズじゃないけど、…naked!ですね。今はそれがベリー大切なことだと思えるのです。音数の少なさだけでなく音楽の表情が、クラシカルというか耽美的というか、これまでのデラウエアと違うのは、新しいメンバーの渡辺ヨシキの曲が大半を占めているからだと思います。彼はデラウエアに新しいニュアンス/魅力を与えてくれました。

逆に、シリコンバレーのDoo_Wopグループ「+eX+_&_+He_SpeecHeS」を起用した『デラウエアの逆襲』は、インスト・オンリーの『アーメン』に対して、すべて歌もののアルバムです。+eX+_&_+He_SpeecHeSのアカペラだけでできた曲、デラウエアの演奏と+eX+_&_+He_SpeecHeSの歌、+eX+_&_+He_SpeecHeSのアカペラ演奏とデラウエアの歌、3つのタイプから構成されています。

「+eX+_&_+He_SpeecHeS」の声は、HAL9000を想わせますが、何故起用しようと思ったのですか?

いま世界中で一番イカシてるヴォーカリストって誰か?と考えてみたら、科学者のスティーヴン・ホーキング、あのコンピュータ・ヴォイスかな!?と思ったのが2年前くらいです。数ヶ月後、メンバーのタジリ君が+eX+_&_+He_SpeecHeSを発見してきた。彼らの声に、皆もうベリーシビれてしまって。彼らって、感情を完全に拒否したような声なんだけど、なんかコミカルで、ほのぼのとしてくる。HALは彼らのアイドルなんです。HALみたいに歌いたい、というのが、+eX+_&_+He_SpeecHeSの出発点ですから。
彼らの声って、エレクトロニクスに囲まれた僕ら現代人にとって、もはやノスタルジックでさえあると思うんです。そういう意味では、『デラウエアの逆襲』も『アーメン』も、21世紀のフォーク・ミュージック/アコースティック・ミュージックだと思っています。
こちらで少しだけ曲が聴けます。よかったらどうぞ。

2枚のCDエクストラには、どのような作品が収録されているのですか?

『デラウエアの逆襲』では、Ages 5&Upと「h/m/s_in_+he_rain」を、『アーメン』では、長谷川踏太氏(Tomato)と「walk_on_+he_hill」をつくりました。「h/m/s…」はグラフィックが時を表わす時計じかけのクリップ。「walk_on…」は、ユーザーが自分なりに丘を作るとその角度/大きさによって音楽の表情が変わるというインタラクティヴ娯楽作品です。

僕らみたいな音楽やグラフィックで、アルバム・セールスの収入で生活をするというのは、残念だけどベリー難しいです。でも2つのアルバムを観たり聴いたりして、デラウエアに仕事を頼もう!というクライアントが出てくる可能性は、無くもない。そのためには、デラウエアってこんなかんじ/こんなこともできるって内容が必要だったんです。その仕事の報酬で生活しちゃおうぜ!というのがデラウエアの人生プランです(笑)。だから今回のアルバムは営業ツールでもある。デラウエア/2004年春夏秋冬コレクション!なんです(笑)。

CDジャケットは、いつものドット絵オンリーではないですね?何故いままでと違うようにしようと思ったのでしょう?

ジャケットまわり/ブックレットは、デタラメと洗練が“いいかげん”でブレンドされたデザイン、CDを聴きながら、眺めているとより音楽を楽しめるものがいいなって思っていました。具体的には、歌詞や散文を楽しくデザインレイアウトすること、大胆な白場使いや裏映り、テキトーな下線などの小技を多用し、飽きのこないものをめざしました。そこで、白羽の矢を立てたのが、千原航氏。デザインもさることながら音楽がベリー好きというのが決め手でした。音楽のセンスがないデザイナーってまるで興味がないので。

千原航氏曰く、「デラウエアと話し合って、ブックレットのデザインは“ダブ”にしようということになりました。デラウエアが基本のグラフィックを作り、ページ構成をする/それを渡された僕が、例えばジャケットではデラウエアのグラフィックをもとに、画面再撮とグラフィックデータを組み合わせました。ブックレット内もグラフィック素材の再撮影、同じベースのグラフィックを使い回したりと、デラウエアならではのダブ的なデザイン展開をしました。……それから、CD-R、インクジェットプリンターがカジュアルになった現在、どういうCDデザインがジャストなのかも意識したところです。家庭デザインであって、なおかつプロフェッショナルなものとは? それをイメージしてインクジェット用紙ばりに漂白されたマット紙を選び、中味のデザインもデラウエアが強く望んでいた、デタラメと洗練が“いいかげん”でブレンドされたデザインを心がけました」

2枚のCDを見て、聞いて感じた事は、全体を構成する要素である、音、映像、グラフィック、言葉どれをとっても1つ1つはとてもシンプルなのに、それをユニークなアイデアで組み立てることによって面白い作品になっているという印象を受けました。制作にあたりデラウェアが大切に思っていることは何ですか?

たとえばR&R初期の時代より50年近く未来に僕らは生きています。ビートルズより30年、ヒップホップより25年、ダダより90年、ポップアートより40年、僕らは未来に生きています。しかも、レコードやビデオ、美術館や文献で、その間のプロセスを僕らはあるていどだけど知ることができます。
CGのJ・ホイットニーやJ・レノンの知らないことを僕らは知っています。あるいは体験しています。才能は彼らより劣っても情報量では僕らに圧倒的にアドバンテージがあります。だから、すでに世に出た彼らの?技術?や?修練??発想??センス?はちゃっかりサンプリングさせていただいて、その部分はスキップする。僕らは彼らがやっていないこと、やりきれなかったことを実現するために時間を費やす。伝統的な技巧を身につける時間は割愛して、その時間を次のステップを踏むためにつかう。R&Rが好きなのは、3コードとフィーリングさえあればカンタン!?にできる音楽だし、ビットマップだって、ビットマップでやると決めてしまった瞬間に技術の修練に時間を費やしようがあまりなくて(笑)、未来ヘのステップを踏むのにベリー都合がいいからなわけです。

歌詞はすべて英語ですが、世界を意識していますか?

以前から変わっていないんですけど、歌詞の基本はネイティヴではないカンタン英語をデラウエア的に遊ぶ、ということ。フランスやブラジルからのメールも必ず英語で書かれていますし、僕らも韓国だろうとドイツだろうと海外にはつたないながらも必ず英語で返信します。それは英語がいまのところ世界でもっともコミュニケーションできるコトバだから。でもネイティヴな英語ではなく、面白いことに、むしろ違うコトバを母国語とする人たちのカンタン英語が世界の公用語になっています。そのコトバで歌詞をつくれば国内だけでなくデラウエアをグローバルに楽しんでもらえるかなと思って。

今回、手掛けていただいたシフトのカバーデザインのコンセプトを教えてください。

最初にコンセプトありき、というタイプではないので、理屈は後付けなんですが、観る人によって聴く人によって、違って観える違って聴こえるモノということですかね。地味なのか派手なのかわからない(笑)。
曲は、『デラウエアの逆襲』収録の「designin’_in_+he_rain」です。作曲は渡辺ヨシキ、作詞はサマタ、アレンジがタジリ、歌が本田綾と、メンバー4人がいいかんじで協力できた思い入れのある曲です。

ホームページをリニューアルされたそうですが、そのポイントは?

老朽化した作品を削除したりリミックスをかけたこともありますが、主にインターフェイス・デザインですね。
例えば、これまでテキストの部分もじつは全てグラフィックだったのですが、それって単なる装飾に過ぎないので、テキストはテキストにしました。その方がインターフェイス的には賢いかなって思うので。音楽もダウンロード形式だったのを、ショックウェーブを使うことで、ウエブ上で聴けるインターフェイスにしました。

2004年にやってみたいこと、チャレンジしたいことは何ですか?

外国のカンファレンスやワークショップなどで、スピーチをお願いされることがあります。でも話すのは得意ではないし、イヤな汗もかくし、苦労の割にあまり面白いこととは思えない(笑)。でも頼まれる。外国もちょっと行ってみたいし(笑)。ですから、ライブに近いエンターテイメント化されたスピーチショーを編み出そうと考えています。音楽や映像をサブに使い、あくまでもコトバがメインなんだけど、コトバでは表現できないデラウエアのフィーリングを伝えられるようなスピーチ。ライブに近くなればなるほど充実感があるし、イヤな汗もかかなくてすむ(笑)。4月のメルボルンでは披露したいですね、デラウエアならではのスピーチショーを。

最後に読者にメッセージをお願いします。

こういうの、いちばんむずかしいし、ベリーはずかしい(笑)。本音は、ただひたすらニューアルバム、買って下さい!なんですけど。建前としては、ニューアルバム、買って下さい! 聴いて観て、また聴いて、そうすりゃあなたはベリーハッピー!とでも吹いておきましょうか(笑)。

Delaware
mail@delaware.gr.jp
http://www.delaware.gr.jp

Text: Naoko Fukushi

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