インカ・ショニバレ「ダブルドレス」展

HAPPENINGText: Simone Biffi

ミラノ現代アート・パビリオンでは、ナイジェリア系イギリス人アーティスト、インカ・ショニバレの個展がジャン=ユベール・マルタンのキュレーションの元、9月14日まで開催されている。


Yinka Shonibare, The Swing (after Fragonard), 2001 © Yinka Shonibare

ショニバレは、皮肉を込めた芸術の探求で文化的アイデンティティの問題提起を行うアーティスト。黒人男性から宇宙飛行士、そしてエイリアンまでが、アフリカ特有の色や素材の衣装をまとって登場する。彼が追い求めるのは、一般的だと思われている考え方についての反応を刺激するような、挑発的かつ不安定な要素。自身がアフリカ人でもあり、アングロサクソン人でもあるという魂が、彼の作品の随所から感じることができる。


Yinka Shonibare “Double Dress” Installation view

彼の主題は、ヨーロッパとアフリカの伝統的な文化の間にある要素の調査、特にファッションの世界や、階級と権力を探求している。ショニバレは、皮肉的に作品にそれらの要素を取り入れることによって、政治批判を行っているのだ。その他にも、写真を利用した作品もあり、ショニバレ自身がオスカー・ワイルド著の「ドリアン・グレイの肖像」や、18世紀に活躍した肖像・風刺画家ウィリアム・ホガースの「放蕩一代記」に登場する人物に扮しているのもある。


Yinka Shonibare, Vacation, 2000 © Yinka Shonibare

今回の個展では、1994年から2001年にかけて制作された、巨大なインスタレーションから彫刻、そして写真など、合計18点を紹介。どの作品も、イスラエル美術館、ロンドン・スティーブン・フリードマン・ギャラリー、テート・ギャラリー、そしてシカゴ現代美術館などの所蔵作品。この個展は、2001年12月に、ローマのヘンドリック・C・アンダーソン美術館で展覧会を開催して以来のイタリアでの開催となる。

Yinka Shonibare “Double Dress”
会期:2003年6月26日〜9月14日
会場:PAC, Pavilion of Contemporary Art
住所:14 via Palestro, Milan, Italy
TEL:+39 (0)2 8844 6359
https://www.pacmilano.it

Text: Simone Biffi
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of Pavilion of Contemporary Art, Milan

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE