サンパウロ・グラフィティアート

PLACE


サンパウロは、世界の中でもグラフィティの文化が発展している街だ。オス・ゲメオス、ハーバート、スペト、ニーナ、ジョン・ハワード(オールド・スクール)、オネスト・エ・ヴィッチェなどは、サンパウロを代表するグラフィティ・アーティスト。その他にも、フリップ、コヨ、シスマ、ラウコス、エノ、ティティといった若手も次々と頭角を表してきている。

またサンパウロは、街にある壁という壁に所狭しとアート作品が描かれている場所でもある。ブラジルではこういったアートを「PICHACAO」と言うのだが、壁に落書きをするのは不法行為でありながらも、こういった動きは時に、海外からサンパウロに来たアーティストにとっては刺激的なものとして映るようである。「PICHACAO」は、ペインティングの際によく使用される自然に作られたフォントで、壁やビルに描かれてもそれに気付くことはあまりない。 ストリートで活動する若者達や家族、地域住民から伝承された文化の中から生まれたものだ。「PIGMEUS」「SS」「2 MIL GRAU」「COLLOS」といったフォントがその一部である。

「PICHACAO」の特徴

現状:いろいろな地域から、多くのアーティストが登場している。この現象は「PICHACAO大量発生」と呼ばれている。

難易点:腕のあるアーティストは、自らの決まり文句を高い位置にある壁に描く。そうすることで、より多くの人の目に止まるからである。サインはなるべく高い場所にする傾向がある。仲間の足首を持ってもらい、屋上からぶら下がってその決まり文句を描くアーティストも多い。これは滅多に起こらないことだが、この行為で命を落としたアーティストもいる。最近では、制作中にスペースがない時など、この行為はよく行われている。

オリジナル性:どのフォントを使うかや、珍しい場所を選ぶことによって、そのアーティストのステータスの位置の高さは左右される。

アメリカ人グラフィテイ・アーティストのソニックは、今までに3度、このサンパウロに来た経験がある人物。今でも、はじめて「PICHACAO」を見た時の印象は鮮明に残っているという。「はじめてサンパウロを訪れた時に、空港からカンブーキ(サンパウロ市の南部地域。グラフィティが盛んな地域である他、オス・ゲメオスが多くの作品を制作した場所でもある)へ向かう道中、窓越しに見えた作品の数々に思わず目が奪われました。その頃にはもう、ベルリンの壁に描かれていたグラフィティの力強さというものを忘れてしまっていた時だったので、それをサンパウロで見つけた!といったかんじでしたね。それ以来、僕の人生はすっかり変わってしまいました」。ソニックにとっては、ここでのグラフィティの達人や街自体が特別な存在だと言う。それは、彼らが持つ幅広いスタイルや、テクニック、スプレー、キャップ、ロール、ブラシのミックスが独特だからである。

若手アーティストのフリップは、サンパウロでこれほどまでにグラフィティ文化が発展したのは、使われている言葉自体がヒップホップの独特な世界から懸け離れたものだからではないかと語る。「線も描き方もすべて自由。この傾向が、他のどこの地域よりもサンパウロが一番強いのではないかと思います。昔からある方法で描く人もいるし、デザインやその他いろいろなものを取込みながら新しい方法を開拓する人もいます」。

街に根付く文化のミックスが、壁へのグラフィティとなって現れる街、サンパウロ。日本、イタリア、ドイツ、ポルトガル、アフリカなど、海外からの文化も溢れた「文化の坩堝」がこのサンパウロなのである。もしここの壁に口があったならら、きっとレゲエやラップ、ロックやドラム、バス、それに昔から伝わる歌などが聴こえてくるだろう。一度是非、耳を傾けてみてほしい。

Text: Greice Costa
Photos: A’+M
Translation: Sachiko Kurashina

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