ギャラリーロケット

PLACEText: Akira Natsume

2000年2月29日を持って、原宿のギャラリーロケットはクローズした。流行通信や、スタジオボイス、ブルータスなど、日本を代表するファッション誌や、カルチャー誌のエディトリアルデザインなどを手掛けているデザイン事務所「キャップ」を主催するアートディレクター・藤本やすし氏の「若手クリイエターの作品を目にする事ができる場が欲しい」という思いからこのギャラリーは始まったらしい。96年10月からスタートしたロケットは、オープニングをかざったインテンショナリーズから始まり、グルーヴィジョンズ、TGBデザイン、谷田一郎、野村浩司、常盤響、エド・ツワキ…などなど、ジャンルを問わず、旬で影響力を持ち得る人々が、週変わりで次々と展覧会を開いていくといった特別な場所だった。

グルーヴィジョンズのように手軽に買う事ができるグッズ(アート作品)を大量に作る。(グッズを観客が手に入れる事でクリエイターと観客との関係が強化される。)そんな新しいクリエイティブスタイルを提示できるグループの参加によって、ロケット以前のギャラリーのように、一般の観客はただ作品を見に来るという暗黙の了解を切りくずし、「アート作品を気軽に買うという行為もありなんだ。」というあたり前の事を伝える事にロケットは成功しかけたのではないかと思う。

ロケットの最後を飾ったのが、東京のクリエイティブシーンから生まれた2大キャラクター、ポストペットの「モモ」と、グルーヴィジョンズのキャラクター「チャッピー」とのコラボレーションワークだったのが象徴的だ。クローズしたロケットは、今度はショップ的発想のスペースを目指して現在準備中らしい。


人気急上昇中のプレイモービル風のチャッピーとモモ。当然売り物で、予約の張り紙もけっこうありました。家に飾るのもいいけど、お店とかに置く人も多いのでは。他には、マウスパッドや、Tシャツ、変わり物では企画中のふりかけ!?の見本が置いてありました。

90年代以前の事は僕には実感はないが、自由なクリエイターと観客とを結ぶ、物と金銭の流れ、このバランス感覚を個人的に身に付けたクリエイターの登場こそが、90年代後半に起きた東京のクリエイターシーンの新しい流れだったのではないだろうか。「ART=権威的」よりも、「ART=ハッピー」の方がいいと個人的に思う。そういえば、ロケットって裏原宿にかなり近い微妙な場所にありましたね。

Text: Akira Natsume
Photos: Akira Natsume

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