スペース・ラブ

HAPPENING


Image by Jadranka Stojakovic courtesy of the Esplanade


自然の美しさを拡張し、街のトーンを盛り上げる。ビジュアルとオーディオエクスペリエンスが本来持つ要素を崩壊し、更にそれを斬新な方法で組み合わせる。

これはすべて、スペース・ラブで行われた試みだ。ボーカル・福岡ユタカ、ヤドランカ・ストヤコビック、坂田美子、ギター・鬼怒無月、パーカッション・岡部洋一、キーボード・高橋英明、ビデオインスタレーション・高木正勝が作り出す世界が、観客をオーディオとビジュアル空間の体験へと誘う。雲が行き、水が流れ、草原を越え、花火が咲き、ネオンが光る。スペース・ラブとは、自然の美しさを創造する場所。身近なものでありながらも、遠くはかないものを作る場所なのだ。

激しさと、ゆるやかさを持つオーディオからは、私達の存在のもろさを反映するようなバランスがとられている。オープニングとして演奏されたのは、福岡ユタカによる「EVACUATION」。絶え間ない彼の声が強弱をつけてエレクトロニックに変声され、人間と自然の関係の追憶を表現した曲だ。「SPORT EPIC」という曲では坂田美子が加わり、琵琶演奏を披露。幅広い声域と彼女の情熱が伝わってくるパフォーマンスだった。


Image by Jadranka Stojakovic courtesy of the Esplanade

ビジュアル的には、基本的な要素を基本的な動き、形へと変化させ、それを更に大きな絵として並べることで、新しいリズムが完成された。スペース・ラブでは、リズムや街の鼓動も感じることができるのだ。多様な都市特有の景観を利用して、うっとりするような花火の一筋の火花の美しさや張り巡らされた電線などが、ネオンの研究として発表されたのだ。

相対的に言って、自然についてプレゼンテーションを行うということは、黒澤明監督作品「羅生門」で見られる精神状態から由来するものだ。景観というものは美しさを兼ね備えつつも、同時に見落としてしまいがちなもの。その両方の要素を最も基本的な自然、という状態の中でひとつのものにすることで、双方の共通点が、相違点よりも浮き立つのだ。どちらにもそれなりの美しさというものがあり、その個性は最終的には相対する(あいたいする)ものにはならないのだ。

パフォーマーの演技の中からも、喜びや美しさを見い出すことができた。瞬間をもう一度創造することに喜びがあり、それがはかない瞬間の美の中では、明白なものとして確立するのだ。

SPACE LAB
会期:2002年10月15日、16日
会場:Esplanade – Theatres on the Bay Recital Studio
www.esplanade.com

Text: Fann ZJ From npsea Enterprise
Translation: Sachiko Kurashina

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