ゲーム・オーバー・シティ展

HAPPENING

6名のアーティストが参加している「GAME OVER CITY – LA VILLE EN JEUX」。建築についての関心を高め、都会での生活に疑問を投げかける事を目的にしている展覧会で、作品ではビデオゲームが使用されている。
トビアス・バーンストラップ、パレ・トルソン、フェリックス・スティーブン・フバー、ビアジニー・バレ、ステファニー・ソウツアー、ピエール・ギナーの6アーティストが、バーチャル世界における空間の複合性と、リアリティと私たちとの関係を調査することで、現実の世界での弱点を明らかにしているのだ。この展覧会は、2ヶ月間に渡ってレイムという街で開催されている。古くからシャンペンワインの産地として知られている街だ。もしかしたらこのことが、建築物に対する偏見について気付くのを促しているのかもしれない。


「想像上のロードムービーを彷徨う」という作品を制作したのは、フランス人アーティストのピエール・ギナー。ある一定のテンションがあるこの作品では、車の運転と事故のシークエンスを、バーチャル的に、そしてリアルにミックスしており、そのストーリーもセンチメンタル風だ。バーチャル要素とリアル要素が混ざっている為、オーディエンスにはどのあたりの危険がバーチャルなものなのかが分からない。このプロジェクトの目的は、インタラクティブなストーリーを展開させることだと、ピエール・ギナーは言っていた。次に見たインスタレーションは、ビデオゲームの世界というよりは、もっとナラティブなもののように思えた。これはビアジニー・バレとステファニー・ソウツアーのショート・アニメ・フィルム、「ルージュ・トータル」だ。暴力的でもあり、夢のようでもミステリアスでもある画像が、ゆっくりとその姿を表していく。ドイツ人アーティスト、フェリックス・スティーブン・フバーは、ベルリン東部の旧セントラル・スクエアであるアレクサンダー・プラッツという場所のど真ん中に、彼のシューティングゲームを設置した作品を紹介。この3Dの世界では、プレイヤーはバーチャル上のキャラクターと接し、そのキャラクターに彼等自身のリアルなビジョンを語らせる事ができるのだ。マルチプレイヤーバージョンでは、衰退したユートピアのシンボルとも言える荒れ果てた場所で、格闘家を戦わせる事もできる。


Both sides : Keep the distance by Pierre Giner. Subtitles translation : “why does he put his hand on her leg?”, “his last words before the accident.”

スイス人のトビアス・バーンストラップは、 アーティストとパフォーマーという2つの顔を持つ。「非リアル」という作品がベースとなった、彼なりのフェイクでリアルな場所をビデオ・プロジェクト・ゲームで表現しているのだ。ベルリンにあるポストデイマー・プラッツの表面的に再構成された、洒落た界隈が舞台。プレイヤーは、ほとんど人っ子一人いないような夜にそこを歩くのだが、冷たい通りを走り抜ける少女と、祈りを捧げている男だけが確認できる。この空っぽの街にある唯一のアトラクションは何かと言えば、2つのテレポーテーションステーションで、そこからは街で一番高いビルの最上階まで行く事ができ、飛び下り自殺をしたい人にとっては、絶景とも言える街の風景が見えるのだ。この街には、バーンストラップの皮肉的な視線が注がれている。建築家のレム・クールハスが描写したような「包括的な街」の見解をイラストで表現しているのだ。これは、ベルリンの再建という案を知らされるということと、国際的な建築家によって作られた、どれもが似たような壁板でできたビルを建設するということにインスパイアされたゲームなのだ。


Left: Sam by Palle Torson, Right: Reality check one by Felix Stephan Huber. (Right Photo by Andre Morin)

パレ・トルソンの作品「サム」は、5歳の少女が主人公のバイオレンスゲーム(この作品は、パリにあるパレ・ド・トウキョウでも紹介された)。単純なインタラクティブ・インスタレーションというだけではなく、かなりはまってしまう作品だ。画面を見ていると、建築的環境言語に関する人間のリアリティに注目してしまう。現代アートにおけるエリート主義世界における、ビデオゲーム作品の出現を紹介しているこの展覧会。ロンドンで現在も開催されている「ゲーム・オン・エキシビジョン」や、リヨン(フランス)の「ザ・アート・ビエンナーレ」のような、このテーマを取り扱った興味深い試みはヨーロッパの各地で開かれている。また、この展覧会のキュレーターであるローレンス・ドレイフスが、トビアス・バーンストラップの展覧会「ネクロポリス」の準備に取り掛かっているとのこと。こちらは「パレ・ド・トウキョウ」で、9月23日からの開催だ。

Game Over City – La ville en jeux
会期:2002年5月17日~7月28日
会場:FRAC (Fond regional d’art Contemporain)
住所:1, Place Museux, 51100 Reims, France
TEL:+33 (0) 3 26 05 78 32

Text: Jeremie Cortial
Translation: Sachiko Kurashina

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
スネハ・ディビアス
MoMA STORE