タイガーマガジン

THINGS


最近、シフトのオフィスで模様がえがおこなわれ、同居している僕もたまったゴミを整理した。いろいろな雑誌も処分されることになって、雑誌フリークの僕としては「捨てるならください!」という感じでいろいろもらった。好きな雑誌をタダでもらえる、こんな嬉しいことはない。喜んでコンビニで冴えない紙袋を買って、雑誌をつめこんで重さでヨロヨロしながら自宅に持ち帰った。寝る前に読むのは最高の楽しみのひとつだ。

もらったもので一番ヒットしたのは今は無きデジタル・カルチャー誌「ワイアード(日本版)」95年8月号。この雑誌は今でも古本屋でバックナンバーをみかけると、買ってしまう雑誌である。レイアウト・デザインのセンスが良く、写真の質感もイイ感じで、辛口の読ませるテキストもある、というバランス感覚がクールだった。その号は発売当時は買いそこねて、バックナンバーは売り切れという人気の号。特集/表紙は、アップルに復帰前のスティーブ・ジョブス。なかなかレアなインタビューだと思う。他にブライアン・イーノのインタビューもあって興味深い。以上の2人の記事が自然な感じで掲載できるのも本誌の魅力だ。

なぜ、本よりも雑誌が好きなのか?というと、雑誌はそれが発行された時代や状況がパッケージングされているからだ。文学などの本のなかに存在するのは、厳密には作者自身だけだ。そこには時間さえ存在はしない。だから、文学は普遍性をもつことができる。雑誌には特集記事もあれば、読み捨てコラムのような小さいものもある。イベント情報/広告などは、まさに「生」の情報であり時間がたてば一般的には意味がない。しかし僕にはそれらを読むことで当時の時代感覚をヴァーチャルに体験できて嬉しい。いろいろな情報が、いろいろなサイズで存在する、雑誌の持つ制作者の意図しない角度で楽しめる、雑多性を僕は愛している。

僕も制作をサポートしている、「タイガーマガジン」は、2001年に創刊された札幌から発信されるカルチャーマガジン。紹介/登場する人物、ショップは地元のものが多く、そのあたりはタウン情報誌的なものだと思われがちだが、その理由は「遠く」のおもしろいものより「近く」のおもしろいものを独自の切り口で紹介しようよ、という姿勢が感じられる。だから、本誌の場合は単なる紹介記事では終わらないユニークなものだ。今までの特集は、「キャッチボール」「カレー」(スパイスの付録つき)「コミニュティ」(地域通貨など)「TVH」「鳥」(野鳥観察&焼き鳥)など、情報というよりも読み物としても楽しめたり、特集に関連したインタビュー/アイテム紹介も細かく紹介されていて、読み捨てできない魅力がある。そのあたりが全国的にも定期購読のファンがいたり、バックナンバーの問い合わせが多い秘密だと思う。また、本誌は2001年度の札幌アートディレクターズクラブのコンペティションでグランブリを受賞した。

タウン情報系の媒体関係者と話しをすることがあるが、その中で必ず話題にでるのは「札幌にはカルチャーの良いネタがない」ということ。僕はそんなことはないと思う。ネタなんてたくさんあると思うし、従来の媒体を見ても特集はあらゆる切り口でやりつくした、という感じはしない。どちらかというとルーティン的に同じようなテーマを続けているような感じがしている。でも、その部分はビジネス的部分もあるのでそれを非難するつもりはない。実際、現場にいる人たちは、あるテーマをじっくり掘り下げる時間的余裕がないからかもしれない。

そんなシビアなシーンにおいて、タイガーマガジンは不思議な存在だ。制作現場の雰囲気は凄くパワフルだったりポジティブなパワーに溢れている、という訳でもない。といって淡々としている訳でもない。その場には単純に説明できない混沌とした雰囲気があって、そのエネルギーの固まりから何かが決まっていって、外の世界に流れていって、最後に雑誌という形で吐き出されている感じだ。

タイガーマガジンの今後のリリース予定としては、フリーペーパーである「TIGER FANG」を今月(6月)後半にリリースし、7月後半に最新号が発行される。特集は札幌の音楽シーン。ありきたりの説明では終わらないボリューム感と、インディペンデントで活動していくという「方法」について実用的な記事も予定されている。札幌市内主要書店で入手可能。お問い合わせは僕までメールをください。また、僕の運営しているサイト「ニュメロデュー」でも簡単な説明もあるのでチエックして欲しい。

タイガーマガジン
住所:札幌市中央区北1条西10丁目西10番ビル2F
TEL.:011 218 2000
http://www.tiger-info.net

Text: Shinichi Ishikawa from Numero Deux

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