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「010101:デジタル時代の芸術」展

HAPPENINGText: Amy Balkin, Josh On

彫刻家、カリン・ザンダーとロキシー・ペインの2人は同じ空間の中で、互いの作品に干渉しないという姿勢をとっている。2人は生産の美学を決定付けるように機材を配置する。サンダーのシリーズ作品「1:10」は、ディテールに工夫が凝らされた自然主義的なミニチュア・フィギュアである。実物大の3Dを10分の1のスケールでコンピューターにスキャンして、通常産業的な原形のために用いられるプロセスによって制作者が彫刻作品を一般化する。


Skumak Machine, Roxy Paine, 2000

ロキシー・ペインは流動化したプラスチックを不規則な間隔でベルトコンベアの上に押し出して彫刻をつくる。テーブルの上でマシーンの方から展示されている赤く積み上げられた山は、アートを大量生産する事の可能性と、アーティスト作品に対する関わりの希薄さを示している。


EYE and Newspaper, Jochem Hendricks, 2000

ヨッヘン・ヘンドリックスは網膜状のスキャナーを使って、シリコンバレーで最も読まれている新聞「ザ・サン・ジョーズ・マーキュリー・ニュース」を読んでいる時の彼の目の動きを記録し、それを線で表わす作品を発表した。新聞の作品にはメサンフェタミンで制作したエッチングの掲載や、言葉を無視したレイアウトといったかなり前衛的な要素が盛り込まれている。


The Telephone Call (2001), Janet Cardiff Audio and video walk through San Francisco Museum of Modern Art, Duration: 17:00, Media: digital video, equipment: mini DV camera and headphones Courtesy of the artist

この展覧会のハイライトの一つ、ジャネット・カーディフのビデオも忘れずに観ておきたい。館内でのパララックスを増し、物語性を持たせたこのセットを体感するために 美術館の入り口でクレジットカード、IDと引き換えにハンディカメラとヘッドセットを手に入れよう。

ペリメター・フラックスによってデザインされた010101ウェブサイトは、規模や美術性の面で意欲的につくられているが、展覧会のインフォメーションについては、PRサイト(残念ながら一般からアクセスはできない)の方が使いやすい。この公式特設ウェブサイトは、展覧会への入り口であると同時に、大胆なグラフィックデザインと斬新でインタラクティブな構成を楽しむためにあるといえる。多くのフラッシュのサイトとは異なり、このサイトはビジュアルメッセージボードを通してのユーザーの長期参加を歓迎している。一般的なメッセージボードシステムとも違って、階層構造の中での投稿システムを浮き立たせている。一方で、これはフラッシュサイトでの技術的な面における正しい方向である。フラッシュではユーザーがインタラクションの中で閉め出しをくらってしまう事がしばしばあり、熟練したインターフェイス自体に隠されたインタラクションを生み出す一般的なフラッシュの方法では失敗してしまう。個々の投稿を通じてロールオーバーやクリック無しにテキストを読めるようにすれば、そこでの対話はより充実しただろう。

最後に、本展は、多少のムラはあるものの、捕らえ所なく進化する分野での正しい見解を提示する意欲においてはお勧めできる。この展覧会は技術革新の時代におけるアートを定義付けるものではない。それは、私たちの時代と同様に散漫で、発見が沢山あって、少なくとも成功と同じだけの失敗を含んでいるのだから。

010101: Art in Technological Times
会期:2001年3月3日(土)〜7月8日(日)
時間:10:00〜18:00(木曜日21:00まで)
休館日:水曜日
会場:SFMOMA
住所:151 Third St., San Francisco, CA 94103
TEL:+1 415 357 4000
https://www.sfmoma.org

Text: Amy Balkin, Josh On
Translation: Naoko Ikeno
Photos: Courtesy of San Francisco Museum of Modern Art

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