010101

HAPPENING

バブルが弾けても、サンフランシスコが最新のあるいは歴史的なテクノロジー開発の中心都市として君臨している事に変わりはない。つまり、アートに関するテクノロジーを探究する場として、ここ以外に最適な場所はないというわけだ。
SFMOMAでは、「アートが映し出す、人々がテクノロジーに深く巻き込まれる時代に作品をつくる事の意義」というテーマで エキシビション「010101」を開催している。


SFMOMAのディレクター、デビッド・ロスは「この斬新なプロジェクトは単に“テクノロジーについてのアート”とか“ハイテクアートとデザイン”といったものにとどまらない。」という。「むしろ、デジタル世代の闇の中で強い自意識を持って作品を生み出しているアーティストや建築家、デザイナーといった人達を全面に出している。デジタルの時代はスタジオでは新しいアイディアや手法を生み出し、ギャラリーでは新しいエキシビションの開催を促し、クリエイターと潜在的な観客を結び付ける新しい方法を提案している。数々のエキシビションのタイトルが示すように、美術館とアーティストの性質の変化は彼等自身と彼等を取り巻く社会の変化として高度技術世代の生活に映し出されている。」

010101は、まだ発達途上にあるテクノロジーとアートとの関係の形に指針を与えようと近年アメリカで試みられているショーのうちの1つ。キュレーターたちは、「テクノロジー作品のサブジャンルが全体の構成からはみ出すことなく、美術館やオンラインエキシビションも作品のサブジャンルを全体の構成の中に入れておくようにする」ということを確立しようとしている。
ショー、は絵画からビデオ、サウンド、彫刻にいたるまでの作品が展示されているが、実際にMOMAからウェブバージョンのエキシビションにアクセスする事は出来ない。このショーの扱う作品の幅が広いので、全体のまとまりとしてはちょっと苦しい。作品としては良くても、コンセプトに乏しいこともある。インタラクティブが単なるギミックとして捉えられたり、テクノロジーへの結びつきが希薄であったり無理があったりする。それでも、ショーを価値のあるものにするような個々の作品がたくさんある。

例えば、サラ・ツェの動的な「カー・クラッシュ」は、テクノロジーを使ったクラフトクラスのアートの陳腐さに反抗している。彼女のインスタレーションは美術館の中央吹き抜けに弧を描き、不安定な小片の集まる中に据えられている。小さなモーターは、濃密で有機的な岩屑の小宇宙の中で ピーナッツや錠剤などを包装しながら、泡を吹いている。

そして、ハイク・バラノウスキのビデオインスタレーション、「オート・スコープ」は強く訴えかける。1時間に渡る4本のビデオは部屋の隅々で同時上映される。パリが移動する。グレーの壁と、無限に思われる都会を通して変化する平凡で魅力的な万華鏡をつくっている木々の間を…。

彫刻家、カリン・サンダーとロキシー・ペインの2人はギャラリーをシェアし、創作過程に干渉しないという姿勢をとっている。2人は生産の美学を決定付けるように機材を配置する。サンダーのシリーズ作品「1:10」は、ディテールに工夫が凝らされた自然主義的なミニチュア・フィギュアである。実物大の3Dを10分の1のスケールでコンピューターにスキャンして、通常産業的な原形のために用いられるプロセスによって制作者が彫刻作品を一般化する。ロキシー・ペインのラップトップは「スクマクマシーン」でプラスチックを不定の間隔でベルトコンベアの上に押し出して彫刻をつくる。テーブルの上でマシーンの方から展示されている赤く積み上げられた山は、アートを大量生産する事の可能性と、アーティスト作品に対する関わりの希薄さを示している。

ジョハム・ヘンドリックスは網膜状のスキャナーを使って、シリコンバレーで最も読まれている新聞「ザ・サン・ジョーズ・マーキュリー・ニュース」を読んでいる時の彼の目の動きを記録した線を作品にした。

新聞の作品にはメサンフェタミンで制作したエッチングの掲載や、言葉を無視したレイアウトといったかなり前衛的な要素が盛り込まれている。この新聞はMOMA内にあるキオスクで販売されている。このエキシビションのハイライトの1つ、ジャネット・カーディフのビデオも忘れずに観ておきたい。館内でのパララックスを増し、物語性を持たせたこのセットを体感するために 美術館の入り口でクレジットカード、IDと引き換えにハンディカメラとヘッドセットを手に入れよう。
これらの作品とは対照的に、プラズマスクリーンやG4ラップトップのように一般的に消費される電化製品の展示のレベルを超えるような方向性に欠けるものもあった。特に、デザイナーによるプロジェクトにはがっかりした。D.ルーグのデザインとカリン・ラシッドのプロジェクトはどちらも忙しく働き過ぎる時代に向けて放たれた作品のように思われた。

ペリメター・フラックスによってデザインされた010101ウェブサイトは、規模や美術性の面で意欲的につくられているが、ショーのインフォメーションについては、PRサイト(残念ながら一般からアクセスはできない)の方が使いやすい。この010101公式ウェブサイトは、ショーへの入り口であると同時に、大胆なグラフィックデザインと斬新でインタラクティブな構成を楽しむためにあるといえる。多くのフラッシュのサイトとは異なり、このサイトはビジュアルメッセージボードを通してのユーザーの長期参加を歓迎している。一般的なメッセージボードシステムとも違って、階層構造の中での投稿システムを浮き立たせている。一方で、これはフラッシュサイトでの技術的な面における正しい方向である。フラッシュではユーザーがインタラクションの中で閉め出しをくらってしまう事がしばしばあり、熟練したインターフェイス自体に隠されたインタラクションを生み出す一般的なフラッシュの方法では失敗してしまう。個々の投稿を通じてロールオーバーやクリック無しにテキストを読めるようにすれば、そこでの対話はより充実しただろう。

最後に、010101とそのウェブサイトは、多少のムラはあるものの、捕らえ所なく進化する分野での正しい見解を提示する意欲においてはお勧めできる。このショーは技術革新の時代におけるアートを定義付けるものではない。それは、私たちの時代と同様に散漫で、発見がたくさんあって、少なくとも成功と同じだけの失敗を含んでいるのだから。

010101 : Art in Technological Times
会期:2001年3月3日~7月8日
会場:SFMOMA
住所:151 Third St. San Francisco
TEL:415.357.4000
http://www.sfmoma.org

Text: Amy Balkin + Josh On From Futurefarmers
Translation: Naoko Ikeno

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