BYSS BISTRO

HAPPENINGText: Drafus Chow

6月30日は香港の中国返還2周年記念日。ここに移り住んでから1年4ヶ月が過ぎた。香港でいい音楽が聞けるようになるには長い間かかった。

ハードテクノに耐えること2年。なぜ?と聞きたくなるかもしれない。それは、香港は小さな場所だから。僕のCDコレクションの中の商業的じゃないうるさいテクノはまだましだが、僕が本当に聞きたいものではない。さらに問題なのは、僕が以前嫌っていたものに僕がなりつつあったということ。音楽を求めることをしていなかったのだ。「シーン」に対しても。

僕は、音楽と少しのシーンを求めて出かけることにした。場所は、以前、啓徳(カイタック)空港があった場所にある商業倉庫で、HITEK(ハイテック)というスペース。いい名前だ。そのイベントは「BYSS BISTRO」(どんな意味かは聞かないでほしい)というイベントで、最もエキサイティングなのは、その顔ぶれ。

トーキング・ラウド・レコーズの創設者で、僕の一番好きなDJ、ジャイルズ・ピーターソンがやって来た。彼のレーベル仲間、4ヒーローとユナイテッド・フューチャー・オーガジゼーションも一緒だった。そして、、フューチュラとスタッシュが手掛けたDJブースのまわりのビジュアルは、間違いなくイベントを盛り上げるものになった。

しかしそのイベントは失敗するように運命づけられていたようだった。僕個人的には、いい音楽を聞けさえすればよかったのだが。まず第一に、このはあまりに大きすぎる会場で、満員にするのは不可能だったということ。もうひとつの問題は、木村コウが同じ夜にイベントを開催したこと。みんなそちらの方のイベントに行ってしまったようだった。

イベントには早めに着いたので、全部見ることができた。(1年半ぶり!)中に入って行くと、ロボットのジェイと何人かが内装をやっていた。大きくてからっぽの倉庫はライクラ(ゴムのような合成繊維)を伸ばすには適した場所ではなかったが、DJブースの裏側でも待機場所のセットを作っていた。DJブースは少し高い場所にあって、DJとその後ろのビデオスクリーンをよく見ることができた。観客の数は相当なものだったが、大きすぎる場所ゆえにみんなまばらに散らばっていて、期待していたよりは少し空いている感じがした。

ドリンクを買いに行くことにし、離れた所にあるバーエリアに向かって歩いて行き、フューチュラとスタッシュの作品の「ギャラリー」を通り過ぎた。バーに15分ほどいた後、ピーターソンがついにブースの後ろに姿を表した。驚くべきことに、ジャイルズが直球のジャズをプレイしていた時もまだ相当な数の人が残っていた。プレイはしばらく続き、彼がプレイしたいと感じた曲のエレクトロミックスにエキサイトした。4ヒーローとユナイテッド・フューチャー・オーガジゼーションが後に続き、基本的には、いいレコードをプレイしていた。間違いなくいいイベントだったと思う。

Text: Drafus Chow
Translation: Mayumi Kaneko

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