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RGB展

HAPPENINGText: Kanya Niijima

「美術館」としての空間に、何か他の方向性を持った要素をフュージョンさせる事によって、従来のアートスペースの定義を変化させる事はできるのだろうか?
サンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)が、その可能性を探るようなイベント「RGB」を開催する。

カリフォルニア在住のビデオアーティスト、ビル・ヴィオラの個展がオープンするのを機に行われるこのイベントは、アートだけではなく、ダンス、ビデオ、エレクトロニックミュージックといった異なるエレメンツを一つのスペースの中で体験できるという、大型美術館では極めてユニークな構成を提供する。

デジタルアート集団「Blasthaus」のプロデュースにより、一階に位置する Sector One (Grand Lobby)と Sector Two (Schwab Room)の2つが、各々異なる音楽性を持つエレクトロニックミュージックのDJパフォーマンスと、MIDIでシンクロナイズされたフィルム、アニメーション等、オーディオとヴィジュアルを同時に楽しめる巨大なダンススペースに様変りし、4階では、フロアー全体をカバーするように設置されたビル・ヴィオラによるビデオインスタレーションが、オーディエンスの視覚と聴覚を深く刺激する。ビル・ヴィオラの作品には、生と死、ネイチャー、精神世界など、人間の根源ともいえるユニバーサルなテーマを掘り下げるものが多く、ビデオインスタレーションの個展では最大級レベルといわれる今回のショーでも、25年にわたって活動してきたビル・ヴィオラの卓越したビジョンが楽しめる。

昨年同美術館にて行われたキースヘリング回顧展においても、Blasthausのプロデュースにより「PoP」という似たようなイベントが開催された。当日はかなりの混雑ぶりで、1000人以上のビジターが入館できなかったというが、今回のRGBでも相当の動員数を記録することが予想されるだろう。ただ個人的であるが、PoPでは結果的にダンスクラブとペインティングギャラリーが単に同じ屋根の下にあるだけで、両方の空間に密接な繋がりが、あまり見られないような感触を拭い切れなかったのを覚えている。

ビデオインスタレーションという「時間」をベースにしたビル・ヴィオラの作品と、同じく動きのあるミディアムをベースに構築された Sector One&Twoが、今回のRGBでいかに絡み合うか、なかなか興味深い。SF MOMAは、はたして美術館を超えた新たな空間にシフトできるのだろうか?

RGB
会期:1999年7月10日(土)21:00〜4:00 (ビル・ヴィオラ展は9月21日まで開催)
会場:San Francisco Museum of Modern Art
住所:151 Third Street (between Mission & Howard), San Francisco, CA
https://www.sfmoma.org

Text: Kanya Niijima

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