ユニバーサル・デザイン展

HAPPENINGText: Eddie Pak

クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で現在開催されているのは「Unlimited by Design」というタイトルの展覧会。ユニバーサル・デザインというコンセプトのもと150ものデザインが一同に会されており、創造と具体的な回答により導きだされたデザイン思想の、造り出した美しく斬新なプロダクトを目のあたりにする。

館内に設けられた小さなスペースでは、過去50年間のマリオ・ボッタハンス・ホラインなどの建築家やデザイナーのデザインした「取っ手」までも陳列されている。そこでシンプルだが生活において基本的で非常に重要な取っ手の様々なデザインを見ることができる。

ジョージア工科大学の建築学部にあるリハビリテーション技術センターでデザインされた「Supine Work Station」などは、レーザー砲の台座のような形状をしていて、このステーションの上では体の動きに合わせて必ずスクリーンとキーボードも一緒に動くので、一定時間同じ姿勢で仕事を続けることができないようになっている。

子供達が祖父母に連れられて夢中になっていたのは「Playdesigns」というグループによってデザインされた子供のための遊び場だ。

ヘンリー・ミラー・リサーチ社によってデザインされた家庭内の衛生環境に考慮した「Metaform Personal Hygiene System」という未来的な形状のバスルームには温度管理機能のあるビデや洗浄機能付のトイレも備わっていて高齢者への配慮も十分にいきとどいた設計となっている。さらにはもっと小さなアイテムも展示されていた。Sporeによってデザインされたセルラーの携帯電話はゴムのボタンが哺乳ビンの飲み口にようになっている。

それに、本展覧会の最大の目玉ともいうべき「ユニバーサル・キッチン・プロジェクト」は、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)によるもので、「日常生活におけるデザインの貧困さの象徴」とも言われているキッチンのデザインを1993年から、リサーチし、そしてデザインを徹底して追求し、3つのタイプを完成させた。そのうちの2つがこの機会に展示された。

リサーチを行った後、作り上げられたこのキッチンは優れた機能性とデザインを実現。高さ調節可能なカウンターにシンク、シンクの中の水周りはスプレーが装備され、皿洗い機もボタンひとつで飛び出す、とはいえこれらはほんの一例にすぎないほどの様々な装備が充実している。オーブン、冷蔵庫なども同時に大幅な改良が加えられ完全なユーザー・フレンドリーを実現した未来のキッチンとなっている。

Unlimited by Design
会期:1998年11月17日(火)〜1999年3月21日(日)
会場:The Cooper Hewitt National Design Museum
住所:2 East 91st Street, New York NY 10128
TEL:+1 212 849 8400
https://www.cooperhewitt.org

Text: Eddie Pak
Translation: Satoru Tanno

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