インテンショナリーズ

PEOPLEText: Chibashi


Visual: Art Direction & Design: Tycoon Graphics for Graphickers, CG: Ichiro Tanida (JJD) for Graphickers, Illustration: Eco Michiba, ITL Logo Design: Tycoon Graphics.

ITLのアプローチの仕方についてですが、ITLのアプローチって僕らの世代(20〜30代)の人間が『食べてるモノ』ってカンジがするんですよ。展覧会での表現の仕方でも、およそ建築っていう言葉ではなくて僕らが普段食べている(消化している)言葉で語り始めていると感じたのですが、そういった世代的なアプローチ感覚というのは意識的にあるのでしょうか?

鄭:ないですね。(笑)世代論は無いと思いますよ。それをどう横断するかっていう方がポイントであって。よく言われるんですけどね。「それは時代が生んだ申し子なのか?」みたいな発言は聞くんですけどね…。違うと思います。資質だと思います。

資質!ですか。

鄭:どの世代でも革新的なことをやられている方はいっぱいいるでしょう。年輩の方で素晴らしい仕事をやっている方は沢山いますし、同世代でもどうしようもないヤツはいっぱいいる。
世代を突き抜けたいなとは思いますね。例えばこの遠藤邸のガーデンに若い世代の人を沢山呼んだら、それは「いいよね、分かるよね」みたいな共感を呼ぶとは思うんですよ。だけど、逆にオーナーだったり、会社をやってらっしゃる方々に突きつけるってことの方が僕らにとって重要ですね。
時代の共感を呼ぶより突き抜けることが重要だと思いますね。

言語として今の時代にあるグラフィックとかデザイン的要素、そういったインターフェイスは意識してないってわけでは無いですよね。

鄭:それはもちろんしてますよ。

それは要するに、今持っている言語として使いつつ、時代を横断する為にスタンスとして使っていきたい。ということですよね。

鄭:だからレーベルなんですよ。「作風変わったよね、ITL」とは言われないところに持っていくっていうか、「作風なんてないもん」っていうか、それだけなんですよ。
ウチのポスターはタイクーンが作っているし、Eggでの展覧会のポスターのデザインは下田君というデザイナーがやっている。このグラフィックが良いか悪いかという次元じゃないと思うんですよね。もっと本質的な話だと思うんですよ。


信藤三雄氏個展会場構成

では、最後に、未来のヴィジョンについてお伺いします。今ITLは若手の建築集団と呼ばれていますが、『若手』という言葉が意味するところは、ITLがこれからどういうことをやっていくかが注目されているということだと思うんですが、例えば建築というものは僕らがいなくなっても残っていく可能性があるものだし、街ににじみだして係わっていっているかもしれない。ざっくばらんに未来のITLの話をお伺いしたいです。

鄭:世紀末って言葉は嫌いだけど、グランド・センチュリーって言葉はその言葉すら無効にしてしまうスゴさはあるじゃないですか?(笑)
この脂の乗りきってる時期にグランド・センチュリーを乗り切るなんて、生まれたくてもそう生まれられるものではないじゃないですか。そういう意味で何かできるかなとは思ってるんですけど。

グランド・センチュリーを乗り切るイメージ、その後のイメージはありますか?

鄭:うまくいえませんが、設計事務所というか建築家というものの意味が今後変わっていくのかもしれませんね。21世紀に入った途端に変わっちゃうというのではもちろんありませんが。

今インターネットに係わる建築家のサイトを見ていると、ネットワーク化で新しく生まれる環境によって建築の在り方も変容していくといったことで、色々なヴィジョンが提示されてきています。例えばSOHOによって変わる住環境と職場の関係や、ネットワーク世界における建築の概念化、極端な話では、将来人間はネットワークによって仕事やコミュニケーションの全てが成立可能になり、建築は人間のボディを確保するものと病院施設だけになるのではないかみたいな話とか、グランド・センチュリーだからってことに関係あるかないかは別として、そういったことを考える素材が揃ってきている変わり目にはあるかなと思います。

鄭:グランド・センチュリーっていうものは実際は気がつかないんじゃないかと思うんです。極論も出るだろうし、その反動としてカウンター・カルチャー的にもっと物質寄りな建築家も出てくると思うんですよ。もともと正統だったものがカウンター・カルチャー扱いになって出てくることも絶対あると思うんですよ。
それがまた、尚一層極みを増してくるっていう。そうするとマスコミも騒いで「グランド・センチュリーだけに!」ということになる。そこを見逃さず、えぐり取りますよ!

遠藤:バランスだと思うんですよ。マック置いた金属で囲んだ記号としてのテクノみたいな空間より、ジャングルの中でマック使っている方がキモチいいと思うんですよ。それって同時代的な直感ですよね。それに正直にいようということなんですよ。だから極論にはなんないと思うし、極論になっているものってパンクな文化っていうか、それ自体システムとして古い気がするんで..古いというか、自分としてはフィットしないから。

ITL:そうですね。自然にやってワンパンチぐらいひそませたい。そのぐらいのバランスですね。(笑)

INTENTIONALLIES
住所:東京都渋谷区神宮前3-40-9 JINGUMAE RESIDENCE
TEL:03-5786-1084
https://www.intentionallies.co.jp

Text: Chibashi

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE