CHANEL PRESENTS “LA GALERIE DU 19M TOKYO”
刺繍は古くからフランスの文化的アイデンティティの基盤に織り込まれ、王室の衣装や室内装飾、歴史的建造物を彩ってきた。ルサージュはこの伝統の最前線に立ち、古代の技法を継承しつつその応用範囲を絶えず拡大している。その影響力はオートクチュールを超え、インテリアデザインや舞台衣装、フランスの芸術的遺産を守る修復プロジェクトにまで及んでいる。
創立100周年を記念し、ルサージュはアーティスト・アリスティドとの共同で、空を舞うムクドリの詩的な舞踏を捉えた巨大な刺繍画「群舞」を発表。パリからマルセイユ、ヴェネツィアからダカールへと広がるこのプロジェクトは、職人技の集合的魂を象徴する感動的なメタファーとなった。一羽一羽の刺繍された鳥は、職人の手技と芸術家のビジョンを定義づける協調性、精密さ、優美さを体現している。
アリスティドとの共同制作作品「群舞」
本展は、伝統と革新、日本とフランス、職人技と芸術家たちの間における祝祭であり対話の場として展開される。「未知なるクリエイション、その先へ」の詩的な世界観と、100周年を記念する「ルサージュ 刺繍とテキスタイル、100年の物語」を通じ、本展は過去の工芸と現代の創造性を結ぶ深い連続性を明らかにする。
この二つの補完的な展覧会において、来場者は伝統に導かれた手技が今なお未来を形作る力を秘めていることを目の当たりにする。創造の村に息づく数寄屋建築の精神であれ、ルサージュのアトリエで輝く刺繍であれ、あらゆる手つきが美と精密さ、想像力という共通言語を体現している。東京の高層に浮かぶクラフツマンシップは、文化と世代をつなぐ生きた架け橋となり、変化が加速する世界において、職人技の衰えぬ生命力を証明する存在となる。
CHANEL presents “la Galerie du 19M Tokyo”
会期:2025年9月30日(火)〜10月20日(月)
開館時間:10:00~18:30(毎週金・土・祝前日 19:30まで)
会場:東京シティビュー&森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
https://www.chanel.com
Text: Sébastien Raineri
Translation: Saya Regalado
Photos: Sébastien Raineri