ART OSAKA 2025
ART OSAKA 2025のもうひとつの目玉は、中之島の大阪市中央公会堂の大ホールで開催された日本の豊かで進化する映像文化の魅力的な探求である。フェアの歴史上初めて、映像がキュレーションの焦点となり、日本のビジュアルアートにおける過去の革新と現在の実験の間に直接的な線が引かれる。著名な批評家である梅津元のキュレーションによるプログラムは、会場の建築的な壮大さと思慮深く融合しており、映像の親密さと空間の記念碑性を浮かび上がらせる。
1960年代の先駆的な映像実験から、今日の学際的なデジタル表現まで、4つのテーマ章でニュアンス豊かな旅を提供する。プログラムA「キカイデミルコト―日本のビデオアートの先駆者たちー」では、飯村隆彦、出光真子、久保田成子といったビデオアートの基礎を築いた人物への貴重なインタビュー映像を紹介し、反抗と啓示としてのビデオアートの誕生を捉える。
プログラムBの「映像の到来:実験映画、ビデオアート、現代美術」では、松本正司、柏原えつとむ、そして河合政之のようなアナログとデジタルのハイブリッドがパフォーマンスとプロジェクションの境界を溶かすような現代アーティストの作品によって、フィルムとビデオアートの実験的な熱気を讃える。プログラムCの「表現の探索:美術家による映像」は、映画をメディアとしてではなく、コンセプチュアルな延長として関わるビジュアル・アーティストにレンズを向ける。村岡三郎、今井祝雄、森村泰昌などは、映画が彫刻的であり、哲学的であり、挑発的で曖昧なものであることを思い出させてくれる。
最終章のプログラムD「来たるべき映像表現:越境性、批評性、再帰性」と題されたこのプログラムでは、折笠良や⾼嶋晋⼀+中川周といった若手アーティストの作品が紹介され、その作品は、学際性や内省的な観客性の交差を探求している。
森村泰昌《The Image of Techno Therapy》1999年 © Ufer! Art Documentary 1998-99, Photo: Kazuo Fukunaga
もうひとつの特別イベントは、1998年に森村泰昌によって企画され、改修直前の本会場で開催された伝説的なマルチメディア展を再訪するドキュメンタリー『テクノテラピー』の上映である。30年近く経った今、この上映会は、歴史的な場所であると同時に実験的な坩堝でもある公共ホールの役割を強調する時間的ループ、芸術的反響として機能している。
中之島の華やかなホールでも、北加賀屋の工業地帯でも、ART OSAKAは対話、発見、そして相互扶助に根ざしたアートエコシステムを育み、活気あふれる日本の現代アートシーンにおける文化的触媒としての永続的な役割を確固たるものにしている。伝統と実験を橋渡しすることで、本フェアがアートがスケールや空間を超えてどのように開花するかを実証している。その幅広いフォーマット、思慮深いキュレーション、そしてコミュニティ主導の精神により、ART OSAKAはアーティスト、コレクター、そしてより広い人々にとって新たな物語を紡ぎ続け、誰もがアートを共有し、進化し続ける体験として捉えるよう促している。
ART OSAKA 2025
会期:2025年6月5日(木)〜9日(月)
会場:クリエイティブセンター大阪(名村造船所大阪工場跡地)、大阪市中央公会堂
https://www.artosaka.jp
Text: Sébastien Raineri
Translation: Saya Regalado
Photos: Courtesy of the artist and galleries