「髙田賢三 夢をかける」

HAPPENINGText: Alma Reyes

1990年頃から、髙田は長年連れ添った人生の伴侶の死、ビジネスパートナーの病気など、私生活で苦悩していた。そして、1993年には、KENZOブランドをLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)に売却。1999年に契約を終了しブランドから退いた後も、企業とのコラボレーションやプロジェクトを通して、デザイナーとして精力的に活動した。


「髙田賢三 夢をかける」展示風景 東京オペラシティ アートギャラリー 撮影:髙橋健治

1992年には、宝塚歌劇団による舞台作品「パルファン・ド・パリ」劇中《宝石の女》の衣装をデザイン。1994年にはパリ・ポンヌフ橋をきらびやかな花で飾った。また、2004年のアテネオリンピック日本代表チームの公式ユニフォームのデザインも印象的だ。同年、食器、インテリア、家具のブランド「GOKAN KOBO 五感工房」を立ち上げた。また、大好きだった絵画にも回帰し、いくつかの作品が展示されている。


「髙田賢三 夢をかける」展示風景 東京オペラシティ アートギャラリー 撮影:髙橋健治

最後の展示室では、日本、中国、ルーマニア、ロシア、アフリカなど、髙田賢三の代名詞ともいわれる世界各地の民族衣装に着想を得た1970〜80年代のフォークロア作品が、巨大なステージ上に一堂に介している。髙田は1980年代、立体裁断と平面裁断を組み合わせ、様々なパターンを織り交ぜて遊んだ。このアプローチは、すでに多様性、包摂性を持ち合わせていた彼の理想とするボーダレスでジェンダーレスなファッションを想起させる。

2020年10月4日、髙田賢三はパリで81歳の生涯を閉じた。彼は、デザインにおける個性、キャラクター、斬新さの伝播におけるパイオニアであっただけでなく、誠実さ、謙虚さ、そして人生の美に対する情熱を持った人物でもあった。

生きる喜び、ちょっとした変化、そんな価値あるものを世界にもたらすことができたと自負している』— 髙田賢三

「髙田賢三 夢をかける」
会期:2024年7月6日(土)〜9月16日(月)
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し翌火曜日休館)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル3F
入場料:一般 1600円、大学生・高校生 1000円、中学生以下無料
TEL:050-5541-8600
https://www.operacity.jp/ag/

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado
Photos: Kenji Takahashi. Courtesy of Tokyo Opera City Art Gallery

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE