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「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」

HAPPENINGText: Alma Reyes

1947年以降、アルバースは「ヴァリアント」シリーズに着手し、1つの主題について複数の習作を作りながら、目の錯覚を引き起こす様々な効果や色の変化を研究した。メキシコや南西アメリカを何度も訪れていた彼は、《3つの茶色+黄土色》(1948-57年頃)の絵を完成させるにあたり、煉瓦でできた家からインスピレーションを得たとされている。


ジョセフ・アルバース《3つの茶色+黄土色》1948–57年頃 ジョセフ&アニ・アルバース財団蔵 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217 Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art

1950年にイェール大学のデザイン学科の学科長に任命された頃には、アルバースは色彩への取り組みで知られるようになっていた。第3章「イェール大学以後 ― 色彩の探究(1950–)」では、アルバースが20年にわたり継続的に制作した2,000点を超える絵画シリーズ〈正方形讃歌〉(1950-1976年)とともに、主著『色彩の相互作用』(邦題:『配色の設計』)にも使われた学生の作品を展示することで、アルバースの色彩への取り組みを再考する。


ジョセフ・アルバース《正方形讃歌のための習作:針葉樹の中心》1961年 公益財団法人アルカンシエール美術財団 / 原美術館蔵 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217


ジョセフ・アルバース《正方形讃歌》1952–54年 DIC川村記念美術館蔵 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217

画家としてのアルバースを一躍有名にした絵画シリーズ〈正方形讃歌〉は、正方形による決まったフォーマットに色彩を配置した作品で、隣接する色同士が様々な効果を生み出している。彼は色を混ぜることはほとんどせず、チューブから直接絵の具を使った。色を混ぜると効力が弱まり、純粋さが損なわれると考えたからだ。また、色だけに集中するために、筆ではなくヘラやパレットナイフを使って作業した。

第4章「版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉(1972)」では、アルバースが1972年に出版した版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉から15点を展示。各作品にはアルバース自身のテキストが付されており、彼の造形に対する思考や色彩への探求を追体験できる。

会場内には、アルバースの出した課題に挑戦できるワークショップ・スペースが設けられている。学生を夢中にさせた彼の授業を、ぜひ体験してみてほしい。

「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」
会期:2023年7月29日(土)〜11月5日(日)
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火)
会場:DIC川村記念美術館
住所:千葉県佐倉市坂戸631
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://kawamura-museum.dic.co.jp

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado

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