クロエ・グリフィン「エッジワイズ クッキー・ミューラーの写真」

THINGSText: Victor Moreno

クッキー・ミューラーと関わりを持つようになった最初のきっかけは何ですか?そしてこのプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?

高校一年生の時、「フィメール・トラブル」という作品のコンセッタ役のクッキーを初めて見ました。彼女はディヴァイン(体重100kgを超える巨体にドラァグ・クイーン姿で主役を演じた俳優)の強気でかっこいい高校生ガールフレンドを演じていました。その時実際に自分の学校でトラブルに見舞われていた私は、すぐに他のドリームランダーたちと彼女の仕草や振る舞いにピンときて、ロールモデルにしました。後に、私はベルリンへ引越し、アンダーグラウンドの映画やアートプロジェクトの製作、出演を始めました。その頃にもらった、クッキー・ミューラーの書いた短編集「ウォーキング・スルー・クリア・ウォーター・イン・ア・プール・ペインテッド・ブラック」は、私に大きな影響を与えました。彼女の文章は直接的、即時的で、まるで実際に彼女に会っているかのようでした。その存在は強烈で、そのとき彼女に敬意を払うために何かしたいと感じたのがきっかけです。

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Cookie, NYC, 1978 (Don Herron)

クッキー・ミューラーの性格があなたに強くインスピレーションを与えたことがわかりました。なぜクッキーの人生へのオマージュ作品を制作しようと決めたのですか?

クッキーが持つ信じられないほどの自由さが好きでした。彼女の友人が私に語ってくれた話からもその冒険的な面を垣間見ることができ、彼女が書く文章からも同じようなものを感じました。それは、ただ自らの人生を彼女らしく生きること。他には何の仕掛けもありません。野性的な子供のようであり、ボヘミアンな精神を具現化したような人で、もちろん彼女自身も驚くほど面白く、また彼女が見る少しおかしな世界も私は大好きでした。気まぐれで風変わりな知恵を運んできてくれるのです。

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“Cookie as My Ex Boyfriend”, NYC, 1980 (Gary Indiana)

あなたの最初の書籍の製作は、リサーチ、取材、素材集め、フィールドワークなど大変な作業だったと思います。本の出版までにどれくらいの時間がかかりましたか?

2006年からクッキーの軌跡を探し始めました。幸運なことに、その年の秋にシャロン・ニエスブとマックス・ミューラーに会うことができ、自分が探していたものが見つかった気がしました。

初めは人と会って会話を記録していただけですが、その時は本を出すことになるとは思ってもいませんでした。それが素材集めだという自覚はありませんでしたが、特に不安はありませんでした。多くの発見に導かれ、自然な形でリサーチを始めました。

8年間をこのプロジェクトに費やし、その間に物語や思い出が成熟し、私自身の人生の物語へと形を変えていきました。それがこの本がとても自然なアプローチででき上がった理由だと思います。

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Cookie, film still from Multiple Maniacs © Dreamland Productions

なぜシャロン・ニエスブがあなたを信頼し、どのように作品へと発展したのでしょうか?また、別の方法でこの本の出版は成し得たと思いますか?

クッキーの人生の物語に近づくことが常に私の目的だったので、彼女を愛し、知り尽くしていた人たちの協力、そしてシャロン、マックスとの友情と共に構築していった信頼関係がこの本には不可欠でした。

シャロンとマックスが私を信頼してくれたのは、自分の心に従った私の素直な目的とオープンな熱意を認識してくれていたからだと思います。最初のミーティングの後、常に連絡を取り合い、何度もプロヴィンスタウンに行き、またニューヨークの彼らを訪ね、すっかり友人となりました。今でもその関係は続いています。

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