「ノーカントリー:南アジアと東南アジアの現代美術」展
「モーニング・グローリー(あさがお)」は繊細な花の軽さと儚さを表した、ソフィープ・ピッチによる巨大な藤の彫刻だ。しかし、藤という材料を使用した事により、あさがおのつる植物としての頑丈さや耐久力も示している。彫刻の大きさから記念碑が連想され、カンボジア史におけるクメールルージュ政権(支配時代)下の強さの象徴を思わせる。
“Love Bed”
ビンセント・ロングの「キーピンナップ・ウィズ・ザ・アダブラ(アブダラについて行く)」は人種と文化、権利と歴史に関する国家政策を引用している。マレーシアの少数民族である中国人とインド人が家族写真の為にイスラム教の服装でポーズをとっている。マレーシアの国教はイスラム教であり、少数民族のこれらの写真の傘など小道具の構成や使い方はマレーシアのスルターンを思わせ、過去と現在の葛藤と緊迫が、同化と共存で安定している状態を思わす。
コンテンポラリーアートのレンズを通して見る南アジアと東南アジアの地形は歴史の影響を表現し、近隣の国同士であっても、アイデンティティや文化、そして存在はそれぞれに形成され表現されている事が分かる。民族や国の違いが異なった地形を生み、文化を存在させ、進化させて行くのだ。
No Country: Contemporary Art for South and Southeast Asia
会期:2014年5月10日(土)〜7月20日(日)
時間:12:00〜19:00 (金曜日は21:00まで
休館日:月曜日
会場:Centre for Contemporary Art, Singapore
住所:9 Lock Road, Singapore 108937, Singapore
TEL:+65 6684 0998
https://www.gillmanbarracks.com
Text: Fann ZJ
Translation: Meiko Maruyama
Photos: Fann ZJ
