シュピネライ

PLACEText: Kiyohide Hayashi

2013年現在「シュピネライ」には約10軒のギャラリーが軒を連ね、展示スペースとして使われる「WERKSCHAU」や、非営利の財団の下で展示やイベントを行う「HALLE 14」といった他の美術関連施設も備える場所となった。今なお、ギャラリーで展示される「新ライプツィヒ派」の作品が伝統を思い起こさせ、重厚な建物から歴史の重みを感じさせるが、決して過去に囚われ続けているわけではない。

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Hall 14, Exhibition cube at the ground floor, Claus Bach, 2009 © Spinnerei

かつて「新ライプツィヒ派」の拠点とみなされた「シュピネライ」には、次世代のアーティストがライプツィヒ内外から集まり、新しい風を吹き込んでいる。一方「HALLE 14」は、積極的に海外のアーティストを紹介する展示を行い、専門家によるパネルディスカッションを定期的に開催するなど、交流の基点として機能している。また印刷工房、画材販売店、ダンススタジオ、劇場、レストラン、ワイン専門店など様々な分野のものが参入しており、美術にだけでなく多領域に門戸を開き、開かれた場所となってきている。

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WERKSCHAU, Nils Petersen, 2012 © Spinnerei

ドイツ再統一から早20年。東ドイツという閉ざされた場所に埋もれていたものが突如姿を現し、過去や伝統をひきずりながらも、その特異性から多くの人を魅了した。そして閉ざされた扉を外へと開き、今や様々な影響を受け入れようとしている。そこには変化が起き、新しいものが生まれつつあるのだ。もちろんそれは美術作品やアートシーンに限った話ではない。この街に住む人々やその生活も過去に留まるわけでなく、変化を受け入れて未来へと向かおうとしている。こうした街が持つ歴史や変化を映し出すのがここ「シュピネライ」であることは言うまでもないだろう。

Spinnerei
住所:Spinnereistraße 7, 04179 Leipzig, Germany
TEL:+49 (0)3 41/4 98 0200
mail@spinnerei.de
https://www.spinnerei.de

Text: Kiyohide Hayashi
Photos: Courtesy of Spinnerei

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