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上海コンテンポラリー・アートフェア 2011

HAPPENINGText: Emma Chi

ヨウ・ジュアンフイ(由庄輝)とダンアル(旦児)夫妻の大型モザイク作品はインターネット上から選び取ったイメージを表している。無限に拡大されたイメージは風刺の意味合いを持ち、このイメージが内包する過度に楽観的でシンボル性の高い内容を表現している。生み出された得体の知れない“物体”は、プラスチック的な現実に対する感覚を強めさせる。三つの作品がそれぞれ会場内の異なる場所に展示されており、そこを通りかかる観客たちに楽観的な印象を与えている。

ジョウ・シャオフー(周瀟虎)のミニマルなインスタレーション作品「文字の鎖」は五つの陶器と映像から成る。映像の中で使用した陶器模型の実物はスクリーンの傍らに置いてある。このダイナミックで超現実主義のインスタレーション作品は、映像と文字の関係性だけを探求しているのではない。誤解、忘却、教育や複製された意志とそうでない自由な意志、それらのあらゆる情況について解釈するものでもある。

ハー・アン(何岸)は人々の期待に挑戦している。(ネオンの文字が所々欠けているのは)盗まれて欠けてしまったものを使っているからではなく、不要になり捨てられたネオン灯で構成しているからだ。約400本のネオン灯が使われ、相対する2つの壁に分けて配置されている。このインスタレーションはネオン灯でできているため、輸送中に割れてしまったものもあったそうだが、それらは床で作品の一部となり、依然として光を放っていた。気付く人は少ないだろうが、壊れてしまって点滅しているネオン灯からは4つの重低音がミックスされた音や、低周波無線信号が流れていたのだ。

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Carsten Nicolai 《青山空间》

カールステン・ニコライの出品作は「アオヤマスペース」というシリーズの一部。彼は空間の刺激と人間の知覚が交わる点について探求している。「アオヤマスペース」という名前は、特殊な空間として知られている東京の青山フォトスタジオに由来する。ニコライの作品は、仮想の部屋を正確な比率で縮小した“表面上に限りの無い”構造の空間を創造する。それらは、異なる曲面や出入り口などがある模型空間になっている。そして低周波から高周波のノイズの組み合わせにより電子音響学で距離の測定をし、選択された明かりが灯るという方法で解釈する。この音は箱の内部でも聴く事ができる。音の周波数と韻律の違いで空間と光の相互作用は、その外観の形状や輝度と視覚の印象に変化が生じる。これを持続させる方法で、空間解釈の主観的なスタイルに対し疑問を投げかけている。

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蒋志 《情书》

ジャン・ジーの新作「ラブレター」はカールステン・ニコライの作品を囲むように配置され、ミニマルな作品「アオヤマスペース」との対比を生み出していた。ジャン・ジーは以前、光とエネルギーを使ったシリーズの中で、単純な動作で現実を理解するための注釈として、私たちに見える物や形とそれが持つ意味への知覚を一瞬の内に破壊し再生した。花が燃え尽きる直前の完璧な瞬間を捉えた作品は、表現力に富み、尽きる事無い詩の様な情緒を生み出している。

上海コンテンポラリーアート展2011(SH Contemporary 2011)
会期:2011年9月8日(木)〜10日(土)
時間:11:00~18:00 (10日は17:00まで)
会場:上海展覧会センター
住所:上海市延安中路1000号
TEL:+86 21 3222 0381
https://www.shcontemporary.info

Text: Emma Chi
Translation: Daiki Kojima

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