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西尾美也

PEOPLEText: Yuko Miyakoshi

西尾さんのアートは服をモチーフにすることから始まっていますが、「ファッション」は今も重要な要素ですか?

そうですね、それは常に立ち戻るところで、いかにそれが服であるか、服でありながらいかに離れられるか。服から離れすぎることは意図的に避けています。服から離れることも簡単なのですが、服に軸を置きながらやり続けるということが自分の中で重要で、今となっては、今までの活動全部、それこそがファッションデザイン——今の時代に於けるファッションデザインや、という風に言いたいぐらいです。

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「ことばのかたち工房 Pro」言葉からイメージした「形」を古着で作るワークショップ発の児童館で行われたファッションショー(東京 2011) Photo: Tsuyoshi Saito

これからアフリカでどのような活動をしていかれる予定ですか?

具体的には考えてないというのが正直なところなのですが、ファッションということにこだわり続けて、それがアフリカ発のファッションブランドというものに通じていけばいいな、というのはなんとなくイメージを抱いています。どこかに着地させていきたいな、と思うので。実験的なアートプロジェクトは行いつつも、それが経済も含めて回っていくシステムに乗っかっていくのも、一つのコミュニケーションだったりするので、そこに服だったら乗っかり易かったりする。その辺りで何か考えられないかな、と。それがフェアトレードとか、よくあることではなく、僕なりの方法で何かできたら面白いのではないかと思っています。

発表はどのような形で行われていきますか?

ナイロビにいる間は日本にも発信していきたいので、ネットでブログなりスカイプなりを使用したやり取りをしていきたいと思います。あとは雑誌みたいなものを作りたいです。僕の作品ごとのテーマに沿って特集を組んで、アフリカで取材、編集してフリーペーパーにしたりとか。それは伝える人が広がるという意味で、一つの方法としてやってみたいと思っています。

影響を受けたアーティストや好きなアーティストを教えてください。

直接的に影響を受けたアーティストというのはいないのですが、勇気づけられたのは大学の教授だった日比野克彦さんや川俣正さんです。身近で考えてることや作品や存在を知り、「思いっきりやっていいんだ」と勇気をもらいました。そういった広い意味で影響を受けたアーティストでは、ボルタンスキーももちろん好きだし、名前をあげればきりがないですね。

海外で制作をするという経験をした西尾さんから、日本で活動をするアーティストの皆さんにメッセージをお願いします。

それでしたら、一度アフリカに来てください、ということですね。そこで自分だったら何ができるか、というのは、誰が来ても面白い体験になると思います。ただの旅じゃなくて、何かアートを実践するというつもりで来た場合に、今まで日本でやってきたことが全部通用しなかったり、あるいは逆に面白い形で通用したりという風に、完全に自分を見直す機会になるので。特に若い人にはそういう可能性を示していきたいです。アートといったらこういう方法、と日本で思われている方法以外に、僕みたいな活動も一つのアートなんだ、ということが伝わった上で皆が選択肢を広げ、そういうことを考えていくと、面白いアートになるし、面白い社会になるんじゃないかなと。外国に来ても、はじめは圧倒されるので、何かアクションを起こしてみないと始まりません。それが次に繋がるのです。

Text: Yuko Miyakoshi

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