OFFFフェスティバル 2009

HAPPENINGText: Eduard Prats Molner

メインステージのカンファレンスに集中していたので、残念ながら他の部屋で行われていたものを見逃すこととなった。音楽プログラムの様子はかなり良さそうだ。ラスター・ノトンによるキュレーションの「ルーピタ」では、アルヴァ・ノトバイトーンフランク・ブレットシュナイダーや、この3人によるシグナルなど著名なアーティストが招待アーティスト等と併せて集結した。

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ルヴァ・ノトによるパフォーマンス

アーロン・コブリンは、ソーシャルデータを可視化することについて話していた。去年の彼の作品をすでに見た人もいたと思うが、僕は何度見てもいいと思うくらい、アーロンの作品は美しい。
『データは僕たちの人生を物語る』と説明しながら、ロスアンジェルスの交通事故の可視化、ニューヨークのIPトラフィックの可視化、アムステルダムでの携帯電話アクティビティの可視化など、いくつかのプロジェクトを紹介してくれた。

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アーロン・コブリンによるプレゼンテーション

しかし、アーロンの一番有名な作品は、「アマゾン・メカニカル・ターク」をベースにしたものだ。アマゾン・メカニカル・タークは、ごく簡単なタスクをこなすことで、少ない金額ながら報酬を得ることができるというもの。彼は、”左向きの羊を描く”という「羊市場」でスタートし、アマゾン・メカニカル・タークのワーカーにより描かれた1万もの羊の絵を集め展覧会を開催した。

10,000セント」は、アマゾン・メカニカル・タークをベースにしたもう一つの作品。それぞれのワーカーは、その世界的なタスクの知識なく、100ドル札のほんの小さな一部分を複製しなければならないというもの。彼らはドローイングツールを使用して、スキャンした紙幣を1万箇所に分けたうちの一部分を(本人ががんばれるだけ)デジタルに複製する。自分が複製した100ドル札を購入できるというわけだ。全ての収益は、OLPC(One Laptop per Child)に寄付されるという。

もう一つ「Bicycle Built for Two Thousand」というプロジェクトがある。これはアマゾン・メカニカル・タークのワーカーによる音の複製プロジェクトで「Repeat a short sound(短い音をリピートしよう)」というもの。デイジー・ベルという初めてコンピュータから生成された曲の一部をそれぞれのワーカーが利用して録音し、全ての音を繋げて、 すばらしくも愉快なシンフォニーを奏でる。

『何気ないことを新しい角度で見ると、素晴らしいものを生み出すことができる』と、アーロンは言う。また『複数の可視化テクニックを使用し、現実の世界ではなくデータについて考えてみるのです。全てのデータを使う必要はないし、データを無料で公開したらいい』とのアドバイスを付け加え、グーグルコードのオープンソースとして公開されたという、素晴らしいレディオヘッドのビデオクリップ「House of Cards」を披露し締めくくった。

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ロバート・ピーターズによるスライドプレゼンテーション

カナダで自然環境について紹介したロバート・ピーターズ。彼の家は森と動物達に囲まれている。『動物から多くのことを学びます』と、彼は家のポーチに集まるアライグマの群を紹介しながら説明した。

『自分がどこにいるか気にしなければ、見失うことはない』ロバートは、写真や影響を受けたもの、彼が好きなデザインなどを披露。アーティスト、哲学者、科学者の発言を引用しながら彼の個人的な経験を語ってくれた。『見ることは考えることだ—サルバドール・ダリ』『自分のすぐ目の前にあるものこそ最も見難い—ゲーテ』『全てのものはできるだけ単純であるべきだが、それ以上に単純にすべきではない—アインシュタイン』

『6つのW(who、what、whom、where、when、why)に答えるときに、how(どうして)という問いを得るだろう』とロバートは演説を締めくくった。これは歴史的な声明や、Runnning the Numbertsバンクシーなどの作品を例にフォーカスしたもので、暖かく長い拍手を彼に送った観衆に向けて届ける上級レッスンとなった。

今年のOFFFのスポンサークレジットの映像作品を手掛け、紹介してくれたワンサイズ。ロゴアニメーションをベースとした作品だ。化学研究所で取り扱われ修正され、驚くべき反応をもったロゴである。ここでは、その制作過程など背景を垣間見ることができた。

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PESによるプレゼンテーション

PESはストップモーションの映像を主に、ユーモアを交えて映像などこれまでの作品を制作年を追って紹介してくれた。
『別にあるもう一つの方法でオブジェクトを見るのがすき』と話ながら、オブジェクトがメインスターとなる彼の作品について言及した。

今年の講演で紅一点となった女性スピーカー、ポーラ・シェア

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“Fucking A”, poster for The Public Theater

『タイポグラフィーを操作することが、常に自身のグラフィック言語となっています』と語り、ポーラは彼女の手掛けた作品を通して彼女のパーソナリティを披露した。『時々仕事がバカらしいと思ったとき、思ったことをただやれば、それが功を成すんです』ポーラはパブリック・シアターやMoMAのプリントキャンペーンなどを紹介。更に、個人的なアート作品である、かなり詳細な手描きの大きな地図を見せてくれた。

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