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FITC ソウル 2008

HAPPENINGText: Yurie Hatano

FITC ソウル 2008

続いて先日SHIFTカバー、インタビューでも特集した三人目のプレゼンター、エリック・ナッケの登場。カラフルで幻想的なコードフラッシュの実験的な作品群が、BGMを共にして軽快に、スマートに映し出される。途中何度も、客席に向かってポストカード作品を投げるなど、飽きさせないパフォーマンスを盛り込みながら。『インスピレーションとは、何を見るかでなく、どう見るか』と、彼の目から見える日常のインスピレーションの源として、作品を連想させる美しい色にフォーカスされた写真やスケッチ、また日常的な数学思考も紹介された。リボン化して描かれる新しいコードプロジェクトや、現在取りかかり中の大規模なランドスケーププリント作品の行方も楽しみだ。

FITC ソウル 2008

エリックのプレゼンテーションが終わればサインをねだるこの人だかり。ソウル開催ならではの光景であろうか。特にこのエリックと、後に登場するお馴染みジョシュア・デイビスの人気ぶりは、プレゼンテーション中の歓声やフラッシュの多さから目を見張るものがあり、彼らのプレゼンテーションもまた、それを納得させる華やかさがあった。

FITC ソウル 2008

とは言え、このあと観客に感嘆のため息をつかせるのは、静かに淡々と語るプレゼンター達の気の遠くなるような膨大なデータ作品や、よりマニアックな制作行程の露呈となる。

同じくSHIFTにも度々登場しているマルコス・ウェスキャンプは、現在所属するアドビのチーム「インデックス(Inovation Design Experience)」の活動紹介に沿ってプレゼンテーションを進めた。彼はユーザーエクスペリエンス・デザイナーとして、昨年より会社の将来ビジョンに貢献、従来取り組んで来た「情報の視覚化」や、モバイルメディアなどの研究を続けている。『沢山遊ぶこと!』とチームのビジョンを強調するマルコス。特に促しているのは『遊びを通した発見』だと言い、また『素早く組み立て、反復する、一つのアイディアに留まらないこと』と続けた。開発途中のプロジェクトの一例として、iPhoneからマルチタッチ機能をラップトップに送る技術が紹介されると、観客からは驚きの声があがった。ウェブサイト「INSPIRE」では、エクスペリエンス・デザインチームが紹介するプロジェクトに対してコメントを書き込むこともできる。

そして、マルコスの代表的な研究テーマである「情報の視覚化」については「Encyclopedia of Life」から地球上に存在する全ての生物分類イメージが披露された。一見、色分けされただけのデータ画像をどんどんクローズアップすると、細かく種名が書かれており、ここから「人間」のほんの小さな点を紹介されることで、この視覚化によって可能となる情報のスケーラビリティや、より深い理解を実感できた。また、このあと視覚化する可能性のあるテーマとして「食物連鎖」「地理位置情報」「時間」などが挙げられていた。

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スティーブ・ベイカー
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