オーロラを見たことのない4人が描く「オーロラ」作品集

THINGSText: Junko Isogawa

オーロラを見たことのない4人が描く光景は、偶然にもまだ感じたことのない印象を残す。 東京在住の作家、塩川いづみのりたけ服部あさ美HIMAA。4名によるドローイング作品集「Aurora」がユトレヒトより出版される。2008年3月に大阪PANTALOON、4月に東京IID GALLERYにて、Aurora展を開催。4名のアーティストに作品、また展示についてお話を伺った。

オーロラ

3月、4月に大阪と東京で行われる展示について教えてください。

のりたけ:コンセプトといえるか分かりませんが、今回、参加する作家の作品には共通して、自分の気持ちのよい所で止めているという印象があります。見る側にある程度、解釈を委ねて、自由に創造してもらえる「間」を残しているというか。着地点は個々に違うのに、あるところでは共鳴している。見に来てくれた方には、そんな共鳴している空間をゆっくりと感じてもらえたらと思っています。
きっかけは、まず、私の作品集「Daysleeper」を気に入ってくれたパンタロンから個展の依頼を頂きました。その時に、初めて大阪で展示をやるのなら、東京の作家を集めてグループ展をやってみたいと思ったのが始まりです。そこで、以前から親交のあったHIMAAさん、服部さんと前々から一緒になにかできたらと思っていた塩川さんをお誘いしました。IIDギャラリーでの展示は、偶然の出会いが重なって、巡回させて頂くことになりました。

HIMAA:実際のオーロラに、コンセプトや、意図といったものは存在しないでしょう。光、粒子、極地。空が偶然にも輝いている。その光景に重ね合わせて、各々がこれまで活動してきた延長を、Auroraという呼び方で束ねて、発表するのだと思います。

作品をいくつか紹介お願いします。

オーロラ

塩川いづみ:みている、みていない。昨日、今日、束の間の永遠。 日常にひそんだありふれたモチーフが独特な描線から刹那的な印象の作品へと生まれ変わります。

オーロラ

のりたけ:作品集では、動物、老人、婦人、静物など、雑多なモチーフをざっくりと描いています。展示では、それらに色が付いたり、大きくなったりします。

オーロラ

服部あさ美:光と影、それらに絡まるものをモチーフに作品を展開します。

オーロラ

HIMAA:自分の経験した中で印象にのこる記憶に遡り、スケッチをしました。また、記憶・時間についての映像作品を発表します。

のりたけ:HIMAAさんは、映像作品も出品しますが、基本的に作家4人のドローイングを中心としたあっさりとした印象の展示になります。作品集には掲載されない大きな作品やカラーの作品はぜひ見に来てほしいです。

作品集について詳しく教えてください。

のりたけ:ユトレヒトから出版されます。全編モノクロ、110ページのドローイングブックです。展示初日には、ご覧いただけます。会期終了後もユトレヒトなどでお取り扱いいただく予定です。

今後の活動予定は?

塩川いづみ:昨年末に、gallery ROCKETで行った個展をきっかけにエコな企業さんとのお仕事が進行中。6月は個展予定です。

のりたけ:台湾とオーストラリアの方との仕事が進行中。昨年からスタートしたZINE制作も継続していく予定。既刊は、SFTユトレヒトなどで販売して頂いてます。

服部あさ美:2月18日〜4月30日、日本コカ・コーラ株式会社の「爽健美茶 華やぐ気分プレゼント」オリジナルトートバックキャンペーンに参加します。

HIMAA:ベルリンのレコード会社「onpa)))))」からリリースされるCDのジャケットに作品を提供しました。春に発売予定です。

作品集「Aurora」
著者:塩川いづみ、のりたけ、服部あさ美、HIMAA
デザイン:PANTALOON
仕様:A4変型 21×28.2センチ、110ページ、ソフトカバー、モノクロ
価格:1,890円(税込)
出版:ユトレヒト
問い合わせ:03-5856-5800
https://utrecht.jp

Text: Junko Isogawa

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