ホット・チップ

PEOPLEText: Francesco Tenaglia

アート界が提供するオルタナティブな祝典「スタート」の一般公開に先立つ私的公開の週末には、控えめに言っても失望させられた。よってこれを、夏休みを台無しにしたこの出来事をカバーする、都市のための再オープニングパーティと考えよう。

ホット・チップは真新しいバンドではない。2004年に、メランコリーなシンセポップ、エレクトロニック・ファンク、ヒップホップの名残りをミックスした「カミング・オン・ストロング」をリリースした。このアルバムは主にジャーナリスト達やハードコアミュージックファン達の間で話題になり、様々な意見が飛び交った。

彼らを最もフレッシュで期待された若いブリティッシュ・バンドと考えるファンがいる一方、刺々しく風刺的すぎると批判する懐疑論者がいた。その後2006年に、素晴らしいダンスレコードレーベル「DFA」からリリースとなった「ザ・ワーニング」で絶賛されて復活。繊細で且つ成熟し、サウンドに実験的な要素を加えた作品だ。

ホット・チップのライブは素晴らしいアンサンブル。彼らは快活なエレクトロを共にしたハウスミュージックを得意とする。ファンクなリズム、キャッチーでまっすぐなシンセ、音のディテール。アレキシス・テイラーのハイピッチな声と、ジョー・ゴダードのバリトンのコントラストが心地よく、ホット・チップを典型的なバンドとはとても思えない。そして彼らはパーティーというものを心得ていた。ゆるいウォームアップのあと、オーディエンスは踊り始め、ライブの後半に差し掛かるとヒステリックになった。会場のレインボークラブの壁が黒であったことが残念だ。この音楽はカラフルな環境にもっと映えるだろう。遊園地などがいいかもしれない。

Hot Chip
日時:2006年9月23日
会場:Rainbow Club
住所:3 Via Besenzanica, Milano
https://www.hotchip.co.uk

Text: Francesco Tenaglia
Translation: Yurie Hatano
Photos: Francesco Tenaglia

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