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越後妻有アートトリエンナーレ 2006

HAPPENINGText: Yurie Hatano


Jean-Luc Vilmouth, Cafe Reflet

いささか洗練され過ぎていてそぐわない感もあるが、ジャン・リュック・ヴィルムート(フランス)設計の「カフェ・ルフレ」では、開放的な窓から棚田を一望しながら地元の料理を楽しむことができる。旬の “ごっつぉ”(ごちそう)が勢揃いした野草料理「農の御前」、農家の普段の昼食をモデルにした「野良仕事定食」などの味は地元の人たちの手に寄るもの。天井には住民が住宅からの風景を撮った写真が施され、鏡のテーブルに映り込んでいる。


Tatsuo Kawaguchi, Relation-Blackboard Classroom, 2003

河口龍夫の2部屋構成作品のうちの一つ「関係—黒板の教室」(2003)。「農耕」と「文化」をテーマにしており、この「文化」の部屋では教室全面に黒板塗料が塗られ、あらゆる箇所にチョークで書き込みができるようになっていた。一方の「農耕」の部屋には地域で集めた農具に種子が封印されている。


Vincent Du Bois, Rice Room, 2006

越後妻有に誰もが連想できるのはやはり、お米であろう。まるで日本のおとぎ話に出てくるような田の風景に、稲作作業をする人の姿を目前にしながら妻有で食べるほくほくの白いご飯は、どこであっても格段においしい。「大地の芸術祭」でも象徴的なデザインとして至る所に起用されているお米の粒だが、ヴァンサン・デュ・ボア(スイス)は「ライス・ルーム」(2006)に表現している。普段は口にするお米に、ここでは反対に呑み込まれ、内側にはお米の音が流れていた。雨の音、川の音、大地が生み出す音には通じるものがある。


Josep Maria Martin, Museum of the constellation families of Matsudai, 2003

ジョセップ・マリア・マルティン(スペイン)の「まつだい住民博物館」(2003)は、「農舞台」入り口へと通じる通路に並んでいた。ここを歩くと突然聞こえて来た住民達の声。『良く来たねえ』などと人情味あふれる歓迎の言葉がスピーカーから流れ、迎え入れてくれる。このカラフルな板に記されているのは、松代全世帯分1470本の屋号だ。屋号とは地域の中で通用する家の名前で、どこかに届ける必要もなく自由に付けられるものだが一度付けると代々続くものである。


Yasuyuki Watanabe, The beat of the ground, 2006

渡辺泰幸のプロジェクト「土の音—まつだい」(2006)。住民と共につくりあげた焼きものの音具が、小さな釜のまわりに並べられていた。それぞれに素朴な表情があってかわいらしく、それぞれに違った土の音がした。2003年には音具の遊び場を設置している作家は、引き続きその会場土市でも展示を行っており、8月19日、20日にはそれぞれ十日町エリア土市とこの農舞台において、演奏会(奏者、永田砂知子)が行われる予定だ。

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