サル・ヴァニラ「+813」「.JP」

HAPPENINGText: Yurie Hatano

一方、イベント期間中の1日のみを使って開催された「.JP」では、音楽とマルチメディア表現を主体としたライブパフォーマンスが行われた。マシュー・マーティンの幻想的なサウンドインスタレーションに始まり、ターンテーブリスト真鍋大度とビジュアルアーティスト堀井哲史のライブは、激しいテクニックと驚異的なサウンドでいつまでも会場内を振動させる。

サウンドアーティスト・伊藤圭介のソロユニット、ブロークンヘイズは、深く軽快なビートと共に和ませ、「+813」でサウンドを手掛けたWCが、ビジュアルアーティスト、ヴォコイと共に体感的なライブでそれに続いた。振動が心臓に触れる程に大きく広がるサウンドと、それぞれの世界観を繰り広げるビジュアルの数々。会場に備えられたターンテーブルの4つのブースは、ライブが終わる度に次々に下げられ、最後にドラムを中心としたパーカッションのセットが2つ残された。

そのセットの間に、ROVO主宰のバイオリニスト勝井祐二が、腰を下ろした。静かに聞こえてくるバイオリンの音は、クロマの迫田悠による映像と重なり水面に広がる波紋のように響き渡り始める。バイオリンの音はエフェクターを通して加工され、まるで多重演奏をしているような効果を持っていた。

ドラム・パーカッションの芳垣安洋と岡部洋一が登場すると、響きは何重にも膨れ上がった。実際に楽器から生まれる音と、さらに残響が共鳴しあう中、サル・ヴァニラのメンバーが登場する。音の高鳴りに合わせるように加えられた力強い動き。幾度もの高揚を向かえながら、果てしない空間サウンドパフォーマンスが続いた。

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