こうして「+813」「.JP」２つを通して感じられたのが、統合することで生まれる、もはやジャンルを問わない空間の可能性である。単独で“パフォーマンス”となり得るあらゆる要素やアーティストを統合し、見事な一体感をなして横浜海岸沿いのある一角を揺るがした。建築、音、映像、身体表現、インタラクティブメディア、それらが織り成す空間の様子には、四次元という世界が見えるとしたらこういうことではないだろうか、とさえ思う。

時には、立方体の内側一面に貼付けられたような感覚、時には宇宙空間の闇に浮かび上がる現象を見るような感覚に陥り、そういった感覚が重なるほどに、イベント全体の広がりを体で感じた。デジタルであってアナログ、均一的なバラバラ、静かで激しい、丸くとがった、古くて新しい、ここまで矛盾表現があてはまる空間は、たぶん他には見られないであろう。

バンカートNYKという会場がこれから迎え入れるもの、そして、そんな会場を見事に染めあげたサル・ヴァニラという集団がこれから益々発信していくものの２つに注目したい。

SAL VANILLA 「+813」「.JP」
会期：「+813」2005年9月7日（水）・8日（木）、10日（土）19:00〜、11日（日）17:00〜
　　　「.JP」2005年9月9日（金）17:30〜
会場：横浜 BankART NYKホール
住所：横浜市中区海岸通3-9
TEL：03-3710-5344（SAL VANILLA）
info@salvanilla.com
https://www.salvanilla.com