ミスカ・ドラスコッツィー

PEOPLEText: Ben Upham

多くのグラフィックデザイナーのビデオプロジェクトは抽象的で、デザインや音楽を焦点としたものですが、あなたの映画はもっとストーリーを重視しているように思うのですが…

そうですね。ストーリーへのアプローチは、少しずつ発展していっています。ストーリーを考えることは、未知の分野への挑戦であり、次へのステップです。

大学卒業後の初めての大きなアートプロジェクトは、NATO(北大西洋条約機構)の架空のアート組織を設立するというコンセプチュアル・アートの「NATOアーツ」というものでした。そこで、その時のパートナーだった、ライターのアエキサンダー・パールズと共に、マーケティングやインスタレーションのデザインに焦点を絞っていました。僕たちは組織を構成する全ての要素のために非常に精巧な歴史と物語を構築しました。それは、本当の世界であると観衆を混乱させるような作り話の世界です。これは僕にとってとても面白い経験でした。僕は、これと同じ姿勢で映画にアプローチしています。アイディアとコンセプト、エモーショナルなコミュニケーションに興味があります。

サウンドトラックはどの様に選んだのですか?

パン・ソニックのミカ・ヴァイニオのソロアルバム「Ydin」を使用しました。当初は、オリジナルにしようと、作曲家を探してましたが、今回これがイメージと合ったので、もしこの音楽を使えるならと思って、ミカとレコード会社にコンタクトを取ってみたところ、両者ともに同意してくれて、使用できることになったのです。以前からミカの音楽の大ファンだったので、決まったときは本当に夢が叶ったような感じでした。今回の映画製作で、一番嬉しかったことは、ミカの音楽と自分の映像がコラボレートできたことかもしれません。

日本と日本のデザインについてどのように思いますか?

「NATOアーツ」のプロジェクトの撮影のために、数年前に日本に行ったことがあります。そこでの経験は、驚くべきもので、違う星に来たような感じさえしました。日本のアニメ「アキラ」の世界のように、東京は汚くて怖い街に思えましたが、その反面、全てがとても整理されているように思いました。

僕は、ユニーク且つ力強い日本のデザインが大好きです。そこにはビジュアルを伝えるための多くの情熱が注がれている気がするからです。

ゴルフ・エクスプレスについて、簡単に教えてください。

ゴルフ・エクスプレスは、デザインと映像を合わせるという、自分にとって初めての大きな試みでした。

この映画は、暴力的で精神病的傾向のブルース・ジョンソンが主人公のインタラクティブ・ゴルフ・チュートリアル。ブルース・ジョンソンは、スポーツTVコマーシャル界に利用され、こき使われるというもの。

この映画は、当時僕が働いていたデザイン会社での不満から生まれました。脚本は、映画にも出演してくれた友達のピーター・トゥイッカーと共に書きました。ブラック・コメディですが、とても楽しく作ることができました。

今後のプロジェクトについて教えてください。

現在、アニメーション、ビデオプロジェクトを中心に、僕の事務所の「SNOW23」でクライアントの仕事をしています。

先日、ドイツのバンド、Circのビデオの撮影を終えたところで、今後もっとこのようなビデオを撮ってみたいと思っています。

映画を作る上で、共同プロセスの過程が好きなので、デザイナーやミュージシャン、ライターなど常に新しい人材を探しています。個人的には、自分で書いた脚本で自分で監督できればと考えています。

アイディアとして、イタリア人デザイナー、カルロ・モリノの人生をベースとしたものを考えています。70年代、生前、彼が自分の別荘でエロティックな女性のポラロイドを撮って、隠し持っていたことが発覚しました。僕が思うに、彼の人生と女性に対する妄想は、実は彼の願望で、最終的に彼がどの様な人生を送ったかと言うようなフィルムになればと思っています。

Miska Draskoczy
住所:515 Greenwich Street, #203, New York, NY 10013
https://www.snow23.com

Text: Ben Upham
Translation: Hazuki Sekine

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