フェイル

PEOPLEText: Naoko Fukushi

作品のインスピレーションはどのようなものから得ますか?

マクネイル:才能ある人達とファッション、ペインティング、靴のデザイン、おもちゃなど、いろいろな分野でのチャレンジ的なプロジェクトに関わることで、インスピレーションを得ますね。何か一つに留まってそれしか知らずに続けていくというのは、恐ろしいこととさえ感じます。最近、新しいデュラン・デュランのアルバムで、トマトのジョン・ウィッカーと仕事をする機会がありました。僕達はいつもトマトが手掛けてきた仕事にはとても刺激されていて、彼と一緒に仕事をする機会に恵まれ、ものすごく刺激を受けたし、エキサイティングでした。


Berlin, 2003

フェイルの作品には、例えば、ヘルメットをかぶった男の人や、ウサギのぬいぐるみを持った少年/少女の作品には、ピンク色が使われていたり、小花、リボンなどかわいらしいイメージのものがありながら、陰うつな表情、破壊的な雰囲気が組み合わさっているのが印象的ですが、このような作品で表現したいこと、伝えたいメッセージはどのようなものでしょうか?

ミラー:僕達は常にそのように対極した概念を作品に取り入れようとしてきました。愛/憎しみ、平和/戦争、暴力/美。このような概念を示すビジュアルや言葉、シンボルが並べられ、作品の中で生きています。


Faile Bast show at Neurotitan, Berlin, 2003

ディ・ゲシュタルテン社からリリースしたコンピレーション本「LAVENDER」の編集を手掛けたそうですが、この本について教えて頂けますか?

ミラー:僕達はこれまでに、「ORANGE」、「DEATH」、「BOREDOM」と3冊の本をリリースしており、今回の「LAVENDER」は4作目となります。「ORANGE」と「DEATH」は手作りで、それぞれ80部しか存在しません。「BOREDOM」と「LAVENDER」も前の2冊と同様に、数量限定で出版されました。これらの本は、自分達にとって2つの役目をもっていて、一つは、インスピレーションを与えてくれるような人達と一緒に何かを作るきっかけであり、もう一つは、僕達の年鑑のようなものになっています。僕達はツアーが多いので、その行程で沢山の才能ある人達に出会います。本がきっかけとなり、ある一つのテーマのもと、そのような人達とつながり、そしてそこで何かが起きる。僕達が選ぶテーマはほとんど行き当たりばったりです。それぞれの本で、音楽、文章、美術、ストリートアート、写真、デザインとあらゆるバックグラウンを持った世界中の人々を集めて、ミックスしようとしています。本という手段は、コラボレーションという考え方に基づいて始めたプロジェクトの一つです。


Lavender Book show at Transplant Gallery, New York, 2004

2004年も半分が終わりましたが、今年上半期のフェイルにとってのビッグニュースは何ですか?

ミラー:毎年、1年が始まる時に、この1年、自分達が成し遂げたいこと、自分達に起こるようなことなどをいつも考えて楽しんでいます。2004年はこれまですごく順調で、素晴らしい人達や企業と共に仕事をする機会に恵まれ、とてもついていると思います。アシックスのオニツカタイガーや、デュラン・デュラン、トマトのジョン・ウィッカー、トロントのウォルラスマガジンとの仕事、様々な展覧会、そして僕達の4冊目の本「LAVENDER」が主な出来事でした。その中でも今年私たちにとって一番の出来事は、メンバーが全員同じ都市(ニューヨーク)に10月に住みはじめるということ。これでもう、遠く離れた場所で夜遅くまで作業することはなくなります。秋には、フェイルの5冊目の本と一緒に、マガジンもスタートさせる予定です。今年の私たちの活動はここから見ることができます。

今月手掛けて頂いたカバーデザインのコンセプトを教えてください。

ミラー:アイディアはとてもシンプルでした。カードを“シフト”するたびにイメージが次々と変わる3Dカードです。シフトすることでまったく新しい何かを見ることができます。


Faile painting exhibition at One Eye Space, Los Angeles, 2004

これからの予定を教えてください。

アイコ:予定している一番大きなプロジェクトは現在水面下で活動中なのでまだはっきりした事は言えません。その他では、8月26日より X−girlニューヨークにてマスクショーがあります。これはファッションデザイナーのNAMさんと一緒に製作したフェイル・スペシャル・レスリングマスクを7点発表。またこの秋、フェイルのウェブサイトが新しくなります。さっきミラーが話していた、デュラン・デュランのニューアルバムカバーのデザイン、リリース間近。来年夏には、オニツカタイガーよフェイル・シューズ(オモチャ付き)がリリースされます。

最後にシフトの読者にメッセージをお願いします。

ミラー:信じているものが何であれ、最も可能性がありそうなものに向かって、一つ一つのステップを確実に咀嚼していきましょう。

Text: Naoko Fukushi

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