デラウエア

PEOPLEText: Naoko Fukushi

2枚のCDを見て、聞いて感じた事は、全体を構成する要素である、音、映像、グラフィック、言葉どれをとっても一つ一つはとてもシンプルなのに、それをユニークなアイディアで組み立てることによって面白い作品になっているという印象を受けました。制作にあたりデラウェアが大切に思っていることは何ですか?

たとえばR&R初期の時代より50年近く未来に僕らは生きています。ビートルズより30年、ヒップホップより25年、ダダより90年、ポップアートより40年、僕らは未来に生きています。しかも、レコードやビデオ、美術館や文献で、その間のプロセスを僕らはあるていどだけど知ることができます。

CGのJ・ホイットニーやJ・レノンの知らないことを僕らは知っています。あるいは体験しています。才能は彼らより劣っても情報量では僕らに圧倒的にアドバンテージがあります。だから、すでに世に出た彼らの?技術?や?修練??発想??センス?はちゃっかりサンプリングさせていただいて、その部分はスキップする。僕らは彼らがやっていないこと、やりきれなかったことを実現するために時間を費やす。伝統的な技巧を身につける時間は割愛して、その時間を次のステップを踏むためにつかう。R&Rが好きなのは、3コードとフィーリングさえあればカンタン!?にできる音楽だし、ビットマップだって、ビットマップでやると決めてしまった瞬間に技術の修練に時間を費やしようがあまりなくて(笑)、未来ヘのステップを踏むのにベリー都合がいいからなわけです。

歌詞は全て英語ですが、世界を意識していますか?

以前から変わっていないんですけど、歌詞の基本はネイティヴではないカンタン英語をデラウエア的に遊ぶ、ということ。フランスやブラジルからのメールも必ず英語で書かれていますし、僕らも韓国だろうとドイツだろうと海外にはつたないながらも必ず英語で返信します。それは英語がいまのところ世界でもっともコミュニケーションできるコトバだから。でもネイティヴな英語ではなく、面白いことに、むしろ違うコトバを母国語とする人たちのカンタン英語が世界の公用語になっています。そのコトバで歌詞をつくれば国内だけでなくデラウエアをグローバルに楽しんでもらえるかなと思って。

今回、手掛けていただいたシフトのカバーデザインのコンセプトを教えてください。

最初にコンセプトありき、というタイプではないので、理屈は後付けなんですが、観る人によって聴く人によって、違って観える違って聴こえるモノということですかね。地味なのか派手なのかわからない(笑)。
曲は、「デラウエアの逆襲」収録の「designin’_in_+he_rain」です。作曲は渡辺ヨシキ、作詞はサマタ、アレンジがタジリ、歌が本田綾と、メンバー4人がいいかんじで協力できた思い入れのある曲です。

ホームページをリニューアルされたそうですが、そのポイントは?

老朽化した作品を削除したりリミックスをかけたこともありますが、主にインターフェイス・デザインですね。
例えば、これまでテキストの部分もじつは全てグラフィックだったのですが、それって単なる装飾に過ぎないので、テキストはテキストにしました。その方がインターフェイス的には賢いかなって思うので。音楽もダウンロード形式だったのを、ショックウェーブを使うことで、ウエブ上で聴けるインターフェイスにしました。

2004年にやってみたいこと、チャレンジしたいことは何ですか?

外国のカンファレンスやワークショップなどで、スピーチをお願いされることがあります。でも話すのは得意ではないし、イヤな汗もかくし、苦労の割にあまり面白いこととは思えない(笑)。でも頼まれる。外国もちょっと行ってみたいし(笑)。ですから、ライブに近いエンターテイメント化されたスピーチショーを編み出そうと考えています。音楽や映像をサブに使い、あくまでもコトバがメインなんだけど、コトバでは表現できないデラウエアのフィーリングを伝えられるようなスピーチ。ライブに近くなればなるほど充実感があるし、イヤな汗もかかなくてすむ(笑)。4月のメルボルンでは披露したいですね、デラウエアならではのスピーチショーを。

最後に読者にメッセージをお願いします。

こういうの、いちばんむずかしいし、ベリーはずかしい(笑)。本音は、ただひたすらニューアルバム、買って下さい!なんですけど。建前としては、ニューアルバム、買って下さい! 聴いて観て、また聴いて、そうすりゃあなたはベリーハッピー!とでも吹いておきましょうか(笑)。

Text: Naoko Fukushi

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