ハバナ建築ビエンナーレ 2002

HAPPENINGText: Elisa Ale

1週間の会期中、約20の展示と会議が行われた、キューバのハバナでの最初の建築ビエンナーレがその幕を閉じた。愚かな憶測から一時的に免れた歴史的な市内中心部(「革命」だけでなく、また禁輸措置のおかげで)では、現在キューバの建築景観が直面している暗雲が立ちこめている状況に何らかの形で関係するすべてのテーマ:建築と遺産、都市再生のプログラム、観光、プレハブ、ディズニーランド症候群の戦略について話し合うために5日間が費やされた。

事業の設立当初はよくあることだが、必要な経験が不足している組織委員会の下で、この初回の建築ビエンナーレは当初の期待のレベルを満たしていなかった。(9月11日の事件の影響で)開催を延期することを望んでいた重要なヨーロッパのスポンサーの撤回が発表された後も、組織委員会はイベントを12月まで延期することを拒否し、開催に向け前進し続けたのだ。その影響の範囲を考えると、開催は現実的ではなかったにもかかわらず、キューバのような国でのこの種の文化的なイベントの重要性は、特にそれを定期的なイベントにすることを確立するには、否定し難いものなのだ。

旧市街周辺の歴史的建造物や戦略的な場所で開催された会議と展示会は、「都市の歴史、文化、遺産」「都市計画」「都市建築の概算」「構築された遺産」という4つの主題でグループ分けされた。今回参加を呼びかけられた「ビッグネーム」は事実上誰もいなかった。非公式なレベルで出回ったその長い参加者リストは、おそらく資料を提出するための十分な時間がなかったことで破棄されたのだろう。

唯一の例外は、フランスの建築家ルディ・リチョッティだ。彼は少し戸惑いながら、ポツダムでのフィラルモニカのプロジェクトを説明した。歴史的な文脈への効果的な挿入であり、地元レベルでの例として機能することを期待している。「ニューアーバニズム」の考案者であるキューバ系アメリカ人のアンドレス・ドゥアーニーは、かなり物議を醸すような内容の基調講演でハバナ市に関する都市計画状況の客観的な分析を記した議事録を発表した。

しかし、ビッグネームの存在はさておき、現代の介入可能な試験場としての特徴を持つ都市・ハバナのために設計するという概念は、海外からの参加者によって、キューバの建築家にとっての非常に役に立つ意見の交換ができたのだ。代わりに、おそらく今回の開催は競争力を期待していなかったため、主催者はこの可能性を純粋に倫理的なレベルにおいても考慮していなかった。きのこの様に何処にでも生えてしまうような恐怖を感じさせるいまわしいデザインの過多も、最近政府から外国の投資者に提案された新しい可能性のお陰で、率直にツーリズムやショッピングモールなど包括的な前進にを可能にしたのだ。


Proposal by Weimar University for a Centro de Investigacion.

今年のビエンナーレで市のために特別に作成された唯一の「外部」からのものといえば、ハーバード大学とワイマール大学の学生と教授がハバナの建築学部と協力して作成し、サンタクララ修道院に展示したものがある。 海外からの参加者の不足は、イベントを地元のデザインフェアのようなものに感じさせた。展示会は、キューバの状況を広範に見ることができるという利点があるにもかかわらず、実際には、ほとんどの場合、歴史的な市内中心部の修復を行う州機関や、その他の少数のプロジェクトに言及していた。


Office building in Sao Paulo designed by Brazilian practice MMBB Arquitetos.

ブラジルのMMBB建築事務所の最新の作品は、言及する価値のあるものの一つである。これから得られる印象は、歴史的な市内中心部への介入へのアプローチは、かなり正統で、時代遅れであり、その方法と目的に柔軟性が感じられない。多くの出席者の意見では、それは、とりわけ歴史的なファブリックへの挿入の場合に、提案されたプロジェクトの疑わしい品質のために、オウンゴールのようなものであった。

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