ケリー・ニッパー「時間の写真」展

HAPPENINGText: Ilaria Ventriglia

イタリアにあるガリエラ・フランセスカ・カウフマンで行われている、女性としては初めての展覧会で彼女は、「写真の時間」と題し、時間を写真の関係を探求する作品を発表した。「60分の砂時計」は、砂時計に入っている砂が、送風機によって吹き飛ばされていく作品。時間はもはや存在せず、永遠と続くいているか、または停止しているかのように、砂は空中に舞い散らばっていくのを待っているかのようだ。


60 Minutes of Hour Glass Sand, Framed chromogenic print, 124.4 x 165.1 cm, Ed. 4

作品はタイミングと共に進んでいく。アーティストに目を閉じてもらうように頼まれた6人の人たちは、自らが10分経過したと思った時に目を開ける。「間を想像してみてください」。合計された時間は砂時計の中の砂と一致しなければならないのだが、過ぎ去った時間を計ろうとすることは、慣習から解放しその時間を計る、という抽象的な単位として認識することなのだ。

写真は、見た目は正面で、空間全体の色である白に落ち着き、冷たく、厳密で美学的な印象がある。作品の構造は厳格な趣で、まるで行動が抑制され、繰り返されているかのようである。または、イメージを混乱させ、ムードの次元に移行されているかのようにも思える。体と物体は思考の焦点になる。もしかしたらその考えが、空気の中に彷徨う砂を掴んでいるのかもしれない。


Opium poppy, 2001 – 2002, framed chromogenic prints, 84,4 x110,4 cm, Ed.4

ケシの花の作品も、時間をテーマにした作品だ。鮮やかな赤色を背景に、ニッパーは花の成長過程を撮影している。ある確実な感覚によって、作品は明瞭性が欠けたものになり、勢いを無くし、現実性の認識の欠如、考えと言語、真の時間に最も近い状態になる。つまり、プラクティカルな枠のように、西洋の認識に対する考え方を失うことは、イベントを自由に行うなかでの瞬間的な成功のようなものなのである。

時間をこのような形で、このような空間で写真におさめることは、体、物体そして場所、不在と存在、停止と動きの間にある関係が、アーティストにとって完全な体験なのである。物理的に、美学的に、感動的に、そして心理的に、多くの層で探究する為の情報が詰まったフィールドなのだ。

Kelly Nipper: Photographing Time
会期:2002年3月17日(日)〜4月17日(水)
会場:Galleria Francesca Kaufmann
住所:Via dell’Orso 16, 20121 Milan
TEL:+39 (0)2 7209 4331
https://www.galleriafrancescakaufmann.com

Text: Ilaria Ventriglia
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of Galleria Francesca Kaufmann, Milan © Kelly Nipper

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