「17 カリグラファーズ」展
スベンスク・フォーム(スウェーデン・クラフトデザイン協会)のデザインセンターで、7月7日から8月26日までの間、カリグラフィーに関する展覧会を開催している。ストックホルムのシェップスホルメン島にあるデザインセンターでのこの展覧会は、行ってみる価値がある。
『コンピュータのマウスからカリグラフィーのペンまでのステップは、これまでの歴史の中で、カリグラフィーが現在最高の人気を誇っていることにくらべれば、それほど偉大なことでは無い。』
この展覧会は、最近コンピューターの普及により、「アーティスト」になることが容易になったのを受けて、技能が色褪せたものになってしまったことを重要に受け止めている。熟練した技で書かれた、言葉や、タイプやロゴには、何かとても力強くて読みやすい。その形における、美しさと厳正さの違いは、技のレベルをやすやすと見せつける。
Annika Larsson
古い書道家と現役の書道家の両方のこの選択を見ると、
昔のカリグラファーと現在活躍中のカリグラファーによる両セレクションを見ると、カリグラファー達は、伝統的な技術を守ると同時に技法的にステレオタイプな方法を用いながらも、現代のグラフィックデザインと古い知識の間の距離が大きくなっていることに気付く。もちろん例外はあるのだが。
Left: Marie A Gyori, Right: Lennart Hansson
ハンドライティングに対する注目は、今後もっと薄らいでくるだろうが、それは単にこの古臭いコミュニケーション方法を、私達が必要としなくなったからだろうか? それとも、まだ必要とされているのか?
かつて、年配の先生が、人の身体の形を描くのが最も複雑だから、その形自体を理解するために何度も何度もデッサンを練習しなければならないと教えてくれたのを覚えている。その後、タイポグラフィーに取り組みはじめた時に、その関係は明らかだと感じた。そのつながりは美的というよりは物理的なもので、タイプとシンボルの動きと身体の抽象化を感じることができた。
Marianne Pettersson-Soold
傍観者として、私は3次元の方法における2次元のグラフィック・フォームは私達が考えているよりも、もっとすごいものだと思っている。シンプルなフォームを生活の中に取り入れるのは大変なことだから。だから、カリグラフィーの知識が面白いのだ。それは、人体を描くためのグラフィカルな方法で、たぶん女性を描くよりもシンプル(もし、先生の事を信用するなら)だけれど、沢山の訓練を必要としていることは確かだ。だから、この展覧会が必要なのだ。主催者の目的は、若い世代に、タイプの基本的な形を知ってもらい、読みやすいハンドライティングの習得に興味を持ってもらうことなのである。
この展覧会に出品したカリグラファーは、カースティン・アンカース、スーザン・ダブナス、カール・エリック・フォースベルグ、モナ・ゴードン、ルドビグ・グランディン、マリー・エー・ギョーリ、ルナート・ハンソン、ヘレン・ヘニングソン、エリック・リンドグレン、フロリアン・キンムン、グン・ラーソン、ラーズ・ローレンティ、マリアンヌ・ピーターソン・ソールド、アンニカ・ルッカー、イルバ・オストベルグ、セシル・スコウ。
17 Calligraphers
会期:2001年7月7日(土)〜8月26日(日)
会場:Svensk Form Design Centre
住所:13 Svensksundsvägen, Skeppsholmen, SE-111 49 Stockholm
TEL:+46 (0)8 463 3130
https://svenskform.se
Text: Joel Broms Brosjo
Translation: Eriko Nakagawa