ジョッシュ・ウルム

PEOPLEText: Daniel Jenett

サンフランシスコにはずっと住むつもりですか?

もうしばらくは居るつもりです。 QUOKKAが好きなんです。他の会社では得られないようなことを沢山得ることができます。でも実を言うと、もう一度教壇に立ちたいと思ってます。大学に戻って、教師をやりたいんです。

以前に教師をしていたことがあるのですか?

はい。教師をやっていたことがあるし、今も教えてます。

カリフォルニア芸術大学でですか?

今はリンダ・ウェイマンと一緒に、コンピューターカレッジで教えてます。前はカレッジのデザインクラスで教えてました。僕が本当にやりたいことは、学校を見つけて、新しくメディア部門を作ることです。

自分で会社を始めるつもりはないのでしょうか?

ビジネスはやりたいとは思ってません。僕がやりたいのは…分からないですね。

現在のインターネットの発展は1968年のムーブメントにかなり似てると思います。その時代の人たちは皆何かをやろうとしてたんです。彼らは音楽を聴いて、音楽には皆を一つにさせる力があるということを示そうとしました。音楽でコミュニケーションをとることができるということを僕たちに教えてくれたんです。そして今、あなたや僕のような人たちが、インターネットで同じことをやろうとしています。それが僕が今、REMEDIでやろうとしてることです。僕は世界中の人たちに、「インターネットでコミュニケーションできるし、誰かを笑わせたり悲しませたり、何でもできるんだ」ということを見せていきたいと思ってます。インフォメーションやデザインを伝えるだけのものじやなく、感情的な道具なんです。ただ今はいろんなビジネスが絡んでくるけど、1968年当時の音楽業界も同じように、一つのビジネスだったんです。

そうですね。常に金儲けのことを考えてる人がいますね。ドラッグもビジネスの道具でした。

今もそうですよ。変わってません。

REMEDIの次のスケジュールを教えて下さい。

4月1日には次のスケジュールを立てることができると思います。やらなきゃいけないことが沢山あって…、近いうちにシャノンと フューチャー・ファーマーズが登場しますよ。

QUOKKAの人材発掘には関係しているのですか?

いいアーティストを見つけるのは大変です。

なぜですか?そんなに複雑なことじゃないと思いますけど。

複雑じゃないけど、全く新しい試みなんです。ほとんどのデザイナーがプリント出身だから、ダイナミックなデザインができなくて、動きのない平面のデザインしかできない。アニメーションなどを使って動きのあるものを作って欲しいと言っても彼らにとってはとても難しくて、まだまだ上手くできないんです。本当にいい人材を発掘するのは大変です。

インタラクティブメディアについての意見はどうですか?

インタラクティブメディアに関しては、得意な人なんて一人もいないと思います。ちゃんと理解してる人は一人もいません。でもそれこそが僕が興味のあることなんです!デザインやインターフェイスよりも、いろんなことを伝えていったり、いろんな人たちと交流したりしていきたいです。この2つが僕が本当に大切だと感じていることです。今のところ、そういうことを実践している人は少ないですね。ピーター・コルスキーは数少ない一人だと思います。

本当に気になるのは、何かを伝えている人たち。映画はよく見ています。僕の心に残っている映画は、僕にとって何かを伝えていく為の最もベストな方法となります。多くの映画監督にインスピレーションを受けます。ヴィム・ヴェンダースは僕の大好きな監督の一人です。カレッジにいた頃、ヴィムについて多くのことを学びました。オリバー・ストーンも大ファンです。僕が何かを伝える時には、分かりやすく伝えること、何を伝えるべきかと、そのタイミングが重要だと思ってます。オリバー・ストーンはそのことをきちんと実行してる人です。彼は、映画界で最も才能のあるビジュアルデザイナーです。本当にナイスな監督です。

REMEDIプロジェクトの今後の展開を教えてください。

先に言ったように、やるべきことが沢山あります。これからどうなるかは、あまり考えないようにしてます。今はどこに何があるのかを把握して、一つづつやっていこうと思ってます。5年以内にはすっきりさせるつもりだけど、たぶん5年たっても変わらないでしょう。だから今後の予定は想像もつきません。

アーティストやオーディエンスが、一つのプロセスとしてREMEDIにいろんな刺激を与えてくれるので、REMEDIをやっていて楽しいのです。ゴールに到達することよりも、そこに行くまでのプロセスが大切なんだと思います。皆がREMEDIから何かを得て、得たものをそれぞれの作品に取り入れてくれた時、僕は次のステップ、次のレベルに進むことができるんだと思います。僕はREMEDIを最終的なゴールとは考えていません。何かをするための一つのステップであり、ムーブメントであり、自分を高める手段なんです。たぶんそれが全く新しいものを生み出すことに繋がっていくんだと思います。知力とか、そういったものは消えてなくなり、他のものが生まれてくるでしょう。それが何なのかを考えるのは楽しいことです。

最後に、REMEDIという名前の由来を教えてください。

『REdesigning the MEdium through DIscovery』の略です!
Discovery(発見)と、Medium(メディア、媒体)に関する仕事をし始めた頃、マーシャル・マクルーハンの著書を読んで「the medium is the message(メディアこそがメッセージ)」という言葉に興味をもって、その意味を考えるようになったんです。この長い文をクールにしようと考えていた時に、文字の入れ替え、頭文字をとるのもいいかもと思って、REMEDIになりました。「世界中の悪者のための治療薬(REMEDY)」という意味も含まれています。キャッチーな名前でしょう!

Text: Daniel Jenett
Translation: Mayumi Kaneko

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